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2002 年度 実績報告書

サル下側頭皮質前部におけるアイデンティティー認知のニューロン機構

研究課題

研究課題/領域番号 14780618
研究機関富山医科薬科大学

研究代表者

永福 智志  富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (70262508)

キーワードサル / ニューロン活動 / 下側頭皮質 / 上側頭溝 / 「顔」ニューロン / 長期記憶 / 符号化 / 再認
研究概要

複雑な図形を視覚刺激として使用した遅延見本合わせ課題遂行中のサル下側頭皮質やV4野からの慢性ニューロン活動記録実験では,見本刺激と正解テスト刺激に対するニューロン反応を比較した場合,同一の視覚刺激でも異なることが報告されている.見本刺激は記憶情報の符号化(encoding),テスト刺激は再認(recognition)に用いられることから,このようなニューロン反応の違いはこれら個々の認知過程を反映するものと考えられる.本年度は,2種類の「顔」に基づくアイデンティティ認知を要求する遅延見本合わせ課題(I-DMS課題),すなわち,見本刺激回転タイプとテスト刺激回転タイプ(以下に説明.)を遂行中のサルの上側頭溝前部領域および下側頭回前部領域から「顔」ニューロン応答の記録・解析を行い,アイデンティティ認知において「顔」の符号化や再認に関係するニューロン反応を詳細に調べた.
認知課題(1)I-DMS課題-テスト刺激回転タイプ:
サルが固視点に固視後,見本刺激が呈示され一定の遅延期間後,様々な人物の「顔」からなるテスト刺激が呈示される.「顔」刺激には既知の人物の「顔」を,7方向(左右横向き,左右斜め向き,および正面向きを含む)から撮影したデジタル画像を使用する.サルは見本刺激と同一人物の「顔」刺激を同定することが要求される.
認知課題(2)I-DMS課題-見本刺激回転タイプ:
サルに様々な向きの「顔」からなる見本刺激と正面向きの「顔」からなるテスト刺激を比較させる.この見本刺激回転タイプの時間経過はテスト刺激回転タイプと全く同一である.
実験の結果,上側頭溝前部領域および下側頭回前部領域それぞれでテスト刺激回転タイプと見本刺激回転タイプの比較により,同一の向きの「顔」刺激であるにも関わらず,見本刺激回転タイプで見本として使用された場合よりもテスト刺激回転タイプで正解テスト刺激として使用された場合にニューロン反応が有意に増強するニューロン(従って,記憶情報の再認により重要な「再認」ニューロン)やその逆のパターンをとるニューロン(従って,記憶情報の符号化により重要な「符号化」ニューロン)が存在することが明らかになった.しかしながら,上側頭溝前部領域および下側頭回前部領域それぞれでこれらの各型のニューロンは混在しており明確な局在はなかった.以上の結果は,アイデンティティ認知における「顔」の符号化や再認が,分散した「顔」ニューロン集団に介在されていることを示唆している.

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] De Souza WC, Eifuku S, Tamura R, Nishijo H, Ono T: "Functional difference of face neurons within the anterior superior temporal sulcus of macaques"Society for Neuroscience Abstracts. 27. 160.11 (2002)

  • [文献書誌] Shibata T, Nishijo H, Tamura R, Miyamoto K, Eifuku S, Endo S, Ono T: "Generators of visual evoked potentials for faces and eyes in the human brain as determined by dipole localization"Brain Topography. 15. 51-63 (2002)

  • [文献書誌] Hori E, Tabuchi E, Matsumura N, Tamura R, Eifuku S, Endo S, Nishijo H, Ono T: "Representation of place by monkey hippocampal neurons in real and virtual translocation"Hippocampus. (in press). (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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