本研究は疾患モデル動物による多因子疾患原因遺伝子同定とその作用機序の解明を目的としている。初年度の昨年、コンジェニックラット12系統の初期解析を終了したのに続き、今年度は以下の通り、計画が進行している。 1)Nidd2/of遺伝子座のファインマッピング F.0-Nidd2/ofコンジェニックラットに宿主系統であるF344ラットを交配し、導入Nidd2/of遺伝子座内で組み換えを起こした染色体をスクリーニングし、合計12系統のサブコンジェニックラットを確立した。現在30週齢雄のOGTTテストを行っている。 2)ダブルコンジェニックラットの解析 QTL解析でepistasisが示唆された二つの遺伝子座を持つダブルコンジェニツクラットを作成した。F.0-Nidd1&2の解析結果から、Nidd1/ofとNidd2/of遺伝子座の遺伝的相互作用を更に指示する結果を得た。また、これらの遺伝子座は糖負荷テストで糖負荷後それぞれ後期と初期で顕著に影響を与えることも明らかになった。現在、論文投稿準備中。 3)レプチン受容体欠損変異体との組み合わせによる肥満が及ぼすNidd高血糖遺伝子座に及ぼす影響の検証 初年度の解析結果から、高脂肪飼料とNidd遺伝子座の一部の間に相乗効果が示された。更に肥満がこれらの遺伝子座に与える影響を調べるため、レプチン受容体欠損変異体と組み合わせて遺伝的に肥満を導入したコンジェニックラットを作成し、解析した。相乗効果を確認したばかりでなく、過度の肥満により一つのNidd/of遺伝子座が糖尿病発症の原因なりうることを示した。論文投稿準備中。
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