研究課題
本研究の目的は2型糖尿病モデルであるOLETFラットで同定された高血糖、及び脂肪蓄積に関わる遺伝子座の詳細な解析を行い、原因遺伝子の同定と量的形質に関わる分子メカニズムを解明することであった。本研究で明らかになった知見は以下の通りである。1)コンジェニック系統のcharacterizationQTL解析によって同定した14個の高血糖遺伝子座についてコンジェニックラットを作成した。そのほとんどはmildな高血糖を示し、QTL解析の結果を裏付けた。2)ファインマッピングNidd2/of遺伝子座を導入したコンジェニックに戻し交配を行い、導入遺伝領域が短くなった1連のサブコンジェニック系統群(10系統)を作成した。その結果、Nidd2/of遺伝子座には少なくとも二つの高血糖遺伝子座があり、それらはそれぞれ約5cMの領域に存在することが推定された。また、脂肪蓄積遺伝子座は約10cMの領域へファインマップされた。3)遺伝子間相互作用(epistasis)の検証QTL解析から予想されたepistasisをダブルコンジェニック系統で検証した。Nidd1/ofとNidd2/of遺伝子座は血糖値上昇に相乗効果を示すことが判明した。4)肥満と高血糖遺伝子座の関係について2型糖尿病を理解する上で、肥満により応答性の高い遺伝子座を同定、解析を行うことはより重要と考えられる。コンジェニック系統にレプチン受容体欠損を導入し、肥満との相互作用を検証した。その結果、Nidd2/ofは遺伝学的肥満状況下で糖尿病を発症した。Nidd1/ofではそれが見られなかったことから、個々の遺伝子座で肥満への応答に明らかな差があることが判明した。Nidd2/ofは肥満が糖尿病を引き起こすメカニズムの解明により重要であると期待される。
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The Journal of Medical Investigation 52(1,2)
ページ: 109-113
Mammalian Genome 13
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