ノックアウトマウス作製によるP2X4の血管における生理的な機能解析 1)P2X4ゲノムDNAのクローニング マウスのゲノムライブラリー(C57Black/6)からP2X4のゲノム遺伝子をクローニングする為にP2X4の配列のうち、P2Xプリノセプターの他のサブタイプとホモロジーのない約800〜1000bpsの配列をPCRにより作成し、RI標識したプローブとしてハイブリダイゼーションに用い、exon1〜12までの全てのexon領域を含む約17kbpのP2X4のゲノムDNAをクローニングした。 2)ターゲティングベクターの構築 クローニングされたゲノムDNAの遺伝子配列をDNA sequencerで決定し、制限酵素地図を作成した。P2X4のexon領域のうち、機能ドメインであるATP結合部位に相当するexon3〜exon5の部分を欠損させることを目的に、exon2とexon3の間にloxP-neo-loxP配列を組み込み、exon5とexon6の間にloxP配列を組み込んだターゲティングベクターをサブクローニングを繰り返すことにより構築した。これによりマウスにCreを発現させるとexon1と2(膜貫通領域)以降はP2X4をコードする遺伝子が欠損することが期待される。 3)ES細胞への遺伝子導入と相同組替え体の解析 ターゲティングベクターをES細胞にエレクトロポレーションにより遺伝子導入し、更にG418により遺伝子導入された細胞を選別した。クローン細胞の中からゲノムDNAを抽出し、サザンブロッティングにより相同組替えしたクローン細胞を選別し、5クローンの相同組み替え体を得た。マウス初期胚へ相同組換えしたES細胞を導入した。得られた杯盤胞を擬妊娠雌ICRマウスに移植し、キメラマウスを作製し、現在約10匹得られている。現在、他のICRマウスと交配させ、ホモ遺伝子欠損マウスを作製中である。
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