研究概要 |
平成14年度 分子鋳型を刷り込んだ過酸化ポリピロール膜および自己集合膜の作製と胆汁酸とコレステロールの認識 タウロコール酸をドーパントとして取り込ませながら,水晶振動子の金薄膜上にポリピロール(PPy)膜を電気分解により析出させ,この修飾電極にアルカリ溶液中で電界をかけて過酸化に伴いタウロコール酸を吐き出し,その分子鋳型を形成した.このようにして得られたタウロコール酸(分子体積:0.345nm^3)の鋳型は,より分子体積の小さい胆汁酸(コール酸:0.286,デオキシコール酸:0.279やケノデオキシコール酸:0.279など)を選択的に認識することがわかった.さらに,10^<-8>Mもの極低濃度までの高感度測定が可能であった.また,コレステロールとステアリルメルカプタンを含むエタノール溶液に金電極を浸して修飾した後,コレステロールのみを洗い流して分子鋳型を有する自己集合膜を作製した.この電極を用いてコレステロールを測定したところ,0.1〜1.0mMの濃度範囲において直線的な電流応答が観察された.従来,高速液体クロマトグラフィーや酵素反応により行われていたコレステロールやその代謝物である胆汁酸の認識を簡易に行うことが出来るようになり,電流値変化または振動数変化をモニターすることにより濃度計測が可能になった.現在,これらの方法の非侵襲計測への適用について検討中である.以上の成果を電気化学会,日本分析化学会およびPittcon2002,NanoBioTec2002において口頭,ポスター発表した.さらに,米国電気化学会,米国化学会,ロイヤルソサエティ発行の国際ジャーナルに計7報の論文が掲載された.
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