研究概要 |
本研究では、3次元の逆ダイナミクスと有限要素法(FEM)を併用して、非侵襲的に身体運動中の脛骨応を定量する方法を確立するとともに、本手法を応用して代表的なランニング障害軽減策(インソール)の科学的効果判定を行うことを試みている。 平成14年度においては、まず手法の確立を目指し、少数(6名)の被験者を対象としたランニング予備実験を実施した。実験に際しては、モーションキャプチャーシステムを利用して3次元の身体位置データを、各種センサーとA/D変換器を用いて床反力データと筋電データ(一部の被験者のみ)を計測した。本研究結果の一部として、走行中の脛骨に作用する捻りモーメントと走速度との定量的関係を明らかにし、論文(川本ら,2002)として公表した。また、逆ダイナミクスとFEMを併用して、身体運動中の脛骨捻りせん断応力を非侵襲的に定量する手法を確立し、この成果を国内学会の「バイオメカニクスにおける最新の計測法」というオーガナイズドセッションでパネリストとして発表した。更に、本研究結果に走速度の影響を加味して再分析した研究結果は、平成15年度の国際学会において発表の予定である。 更に、予備実験の成果を踏まえて、被験者28名を対象とした本実験を実施した。この際、インソールの相違に基づく脛骨応力分布の変化について検討するため、2種類のインソールを用いた。本研究結果の一部として、足部アーチ支持型のインソール着用によって、歩行および走行中の足部アーチが有意に高位に保たれることを定量的に示し、この研究成果を学会発表した。 平成15年度においては、本実験より得られたデータをより詳細に分析し、成果を報告する予定である。
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