研究概要 |
本研究の目的は,1)超音波画像を用いた伸張反射感受性の計測方法の確立,2)伸張反射刺激システムの構築である.目的別に研究実績について報告する. 1.超音波画像を用いた伸張反射感受性の計測方法の確立 申請者の研究グループで申請していた平成14年度文部科学省研究設備整備費補助金申請で,超音波画像診断装置が導入できたので,格段に超音波画像の解像度や画像取得サンプリングレートが向上した.平成14年度は,静的および動的な筋線維長変化を計測できる計測支援ソフトウェアの開発を行った.静的計測では,一つの筋全体の筋線維を同定することが目的であり,数十枚の超音波画像を張り合わせ,筋全体の画像を構築し,同定できる筋線維を自動計測できるソフトウェアの開発を行った.その結果,1つの筋全体の二次元超音波画像から35本以上の筋線維を自動的に同定することができた.今後はさらに多くの筋線維を自動抽出できるように改善する予定である.また,動的計測では,数本の筋線維を筋伸張時に自動追跡する支援ソフトを開発した.いくらか問題点があるものの,5本程度は自動追跡することができ,100deg/s程度の関節角速度にも対応可能であった.現在の超音波装置では,サンプリングレートが60Hzに制限されているが,平成15年5月には120Hz以上が可能となるので,実際に伸張刺激に近い角速度で実験可能となる予定である. 2.伸張刺激システムの構築 これまでのアクチュエータ(DDモータ)に問題があったため,新たなアクチュエータの選定を行った.その結果,空圧モータを用いた肘関節屈伸用試作機を開発した.DDモータに比べて大きな角速度および角加速度を得ることができたが,反応が遅く,動き出すまでに時間を要する点が問題となった.今後はこの空圧モータによる刺激装置の制御システムの改善と足関節や手関節などへの汎用デバイスを開発する.
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