研究概要 |
軟組織モデルの構築において,押す・引く・切開といった基本的な動作の他に,切離などの臓器の大変形を導く変形動作や臓器切片を掴む動作を,リアルタイムかつ体積一定な変形処理で可能とするサーフェースモデルの構築手法を開発した.同時にボリュームデータを用いて内部構造や周辺組織との干渉を考慮した,リアルタイム変形を可能とするVolumetricモデルの構築を行った.対象とする臓器は,実質臓器で臓器内部に血管が走査する肝臓とした.その結果,サーフェースモデルでは,切開,切離処理をインタラクティブに行うことが可能になり,実際の術式に沿った切離面における切離処理を行うことが可能になった.さらには切離後の残存肝体積比を瞬時に提示することが可能となった.またVolumetricモデルにおいて,表示法の改良,データ参照法の最適化などを行い,従来の手法における画像更新速度の約2倍の画像更新速度で基本的な変形処理を扱うことが可能になった. 一方,臓器の物理的特性を測定するために,実験動物を用いて,デジタルフォースゲージを用いた押付力,臓器の張力を測定する実験を行った.実験にはブタを用い,全身麻酔下で開腹して肝臓を露出した状況で行った.具体的には,デジタルフォースゲージを露出した肝表面に押し付け,そのときの肝表面の変位量と押付力の関係を計測した.デジタルフォースゲージにはマーカを取り付け,そのマーカの空間的な移動量とその方向を光学式位置センサにより計測し,その移動変化を肝表面の変位に変換した.その結果,肝表面変位量とその変位量に応じた押付力の関係を得ることができ,複数回の実験結果のデータベース化を行うことができた.
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