本年度は下肢関節の可動を忠実に再現する機械式ミニチュアモーションキャプチャ装置の開発、および同装置より得た関節角度によりおこなうバイオメカニカルシミュレーションのためのモデリング手法の開発を行った。 開発したミニチュアモーションキャプチャ装置(スーパーバーチャルヒューマンモデル)の全長は586mm、全重量は1700gとなり、全体の関節自由度は26度、下肢関節の自由度は12度である。関節部はそれぞれサーボモータにより自由に姿勢を制御することが可能で、ロータリエンコーダにて0.1度の精度で各関節角度を測定することが出来る。人体関節特有のころがりすべり運動に関して下肢の長さ調節をおこなうことにより、人体の自然な姿勢制御を模擬することが可能となった。以後の研究では本装置により労働作業時に良く見られる踞屈しゃがみ姿勢を取り込む予定である。 つぎに、シミュレーションに必要な生体形状FEMモデルのための、モデル形状忠実度評価法の開発を行なった。本研究では機械式モーションキャプチャ装置により得られた関節位置情報より、仮想空間内の人体FEMモデルに作業姿勢を持たせ、作業時に関節に加わる応力状態やエネルギ密度を算出する。膝関節部分にあたる大腿骨顆部、および脛骨プラトー部について、提案する評価法を元に形状を維持しつつ節点数を削減したところ、従来手法による構築モデルにくらべ約半分の要素数で元形状に忠実なモデルを作成できることを示した。以後下肢関節FEMモデルを同様に構築し、バイオメカニカルシミュレーションを行う予定である。
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