本年度は本申請により開発したバイオメカニカルシミュレーションモデリングによる有限要素モデルの作成および解析、ならびに開発したモーションキャプチャシステムをもちいた作業環境内における姿勢計測を行った。 モデリング手法の適用例として、人膝関節を対象とした結果、提案した手法では要素数を任意に選択でき、従来の四面体メッシュに比べ、要素を1/5程度に低減できることを示した。また提案手法によるモデル要素のアスペクト比平均は0.5程度であり、従来の四面体自動メッシュに比べ要素形状が良好に維持できることがわかった。さらに衝撃解析計算に供して有効性を検証した結果、提案手法により作成された六面体要素モデルが従来手法による四面体要素モデルに比べ、応力伝播分布をよく追従していることが示された。 またモーションキャプチャ技術を工場など閉所での生体姿勢計測に応用すべく、複数台のデジタルビデオカメラからの対象抽出および映像合成システムを開発し、工場内での使用とその空間位置検出特性を調査した。作業者の動作範囲を妨げることの無いよう、作業服の上に取り付けた無発光のカラーバンドを利用することで、作業服の色の影響のないモーションマーカーとすることを提案した。工場内は安全のため、黄色の危険帯や作業三色灯など原色でペイントされた機器が多いが、本システムでは注目箇所と同一の色の部分に反応することなく、正しくターゲットを認識、追跡を行うことができた。誤差は最大で約8mmと非常に高精度であり、実用上ほぼ正確に対象の位置を認識していることが示された。
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