本年度は、以下の活動を行った。 ・昨年度に引き続き、先端医療センター映像医学研究部・千田道雄部長および坂本攝主任研究員の協力の基、がん検診用全身PET画像を収集した。 ・昨年度作成したがん診断プログラムに関して、H15年9月にBarcelonaで開催されたInternational Conference on Image Processing で発表を行った。 ・がん診断プログラムの欠点を洗い出した。現行の手順で診断を行うとなると、疑陽性陰影を多数拾いすぎ、診断結果があまり芳しくないことが確認できた。 ・がん診断の前処理として、疑陽性陰影削減手法についての検討を行った。これは、PET画像の持つ濃度値の微分幾何学特徴を基に候補領域を抽出後、健常者のPET画像と位置合わせを行うことで、疑陽性陰影を削減するものである。位置合わせには、局所領域内の濃度値の2乗誤差が最小となる領域を探し出すSID法を採用した。このSID値を基に、疑陽性陰影か否かの判断を行う。すなわち、SIDが高すぎれば位置合わせを行うことができないとしてがん候補領域とするものである。 ・位置合わせを行う画像として、健常者の画像、および同一患者のスライス位置の違う画像を適応し、その両者において良好な結果が得られた。 ・これらの結果をH16年3月に開催された電子情報通信学会全国大会で発表を行った。 ・がん陰影の絞込みについての新しい手法については、SUV値、がん候補陰影の存在する位置や形状等を考慮して画像の最適化問題として置き換え、GA等を用いる手法を検討中である。
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