DNAのコンジュゲートは熱応答性高分子であるpoly (N-isopropylacrylamide) (PNIPAAm)とDNA(9量体)から構築した。導入するオリゴヌクレオチドは、ターゲットのガン遺伝子(c-K-rasのコドン10から12の範囲の9量体)に対して相補的な配列を用いた。このコンジュゲートを水中で相転移させると、PNIPAAmの疎水核表面に一本鎖DNAを担持した平均粒径46nmのコロイド粒子が自発的に形成した。このコロイド粒子の分散液にターゲットのガン遺伝子を加えると、急激に粒子が凝集して系が白濁するのに対し、その塩基変異体を加えた場合には溶液は透明なままであった。 上述の凝集現象を、長鎖サンプルDNAに拡張した二重鎖形成方式を検討した。サンプルにコロイド粒子上に担持された9量体DNAに対して、相補的あるいは一塩基変異を含む24量体DNAを用いた場合、サンプルDNAがコロイド粒子上のDNAと二重鎖を形成しても15塩基の一本鎖部分が残るため、粒子の凝集は見られなかった。しかし、この一本鎖部分と相補的な補助DNAをさらに追加すると、NaCl濃度が500mM以上で粒子の凝集による系の白濁が観察された。これに対し、補助DNA存在下、検出部位を一塩基置換した変異型サンプルDNAを添加した場合では、同じ塩濃度条件でナノ粒子の凝集は全く見られなかった。以上の方法により、ナノ粒子に担持させたDNAよりも長い鎖長のサンプルの一塩基変異を検出することに成功した。
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