研究実績の概要 |
A ゼブラフィッシュ稚魚における肝毒性の検出:四塩化炭素の肝毒性を検討した。アポトーシスおよびネクローシスを検出するアクリジンオレンジ染色、脂肪肝を検出するオイルレッド染色とも安定した効果を確認できなかった。しかし、デキサメサゾンとエタノールによる肝肥大(120hpf)を倒立顕微鏡観察を用いた左側像から確認し、断面積の有意な増加を検出できた。四塩化炭素、テトラサイクリン、カルバマゼピン、ネオマイシン、TCPOBOP、エストラジオール、2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin:TCDDなど肝毒性が哺乳動物で報告されている物質では影響を確認できなかった。
B 肝肥大に対するAPSの影響:デキサメサゾンおよびエタノールによる肝肥大に対して、APSの水性暴露は全く影響を与えなかった。また、TCDD誘発性浮腫に対してもAPSは無効であった。大量の結晶が析出しているので充分量が吸収されていない可能性がある。
C 遺伝子発現に対する効果:デキサメサゾンは免疫および代謝に関与する一群の遺伝子発現に影響することが哺乳動物で知られているので、TNF, iNOS, IL1, IL-10, IL-12, VPS, FKBP5,FOIE-GRAS, HER6, CD36, ANGPTL4について肝臓原基が認められる受精後120hrのゼブラフィッシュにおける定量PCR法を検討した。これまでのところ、ANGPTL4が増加率はわずかではあるが、有意に誘導されることを見いだしている。
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