代数的なアプローチにより、異なる固有値の数に制限をつけたグラフの分類問題に取り組んだ。特に、強正則グラフの一般化である、異なる固有値が3個しかないグラフの分類問題において、いくつかの成果が出た。正則グラフの場合はこの条件から自動的に強正則グラフになるが、正則でないが異なる固有値が3個しかないグラフは存在し、その分類問題にはわかっていないことが多い。この問題において、次数が2種類の二部グラフであるものについて分類結果を得た。また、等角直線族の存在問題の中から、正則グラフの存在問題に帰着できる場合を見いだし、実際に非存在を証明することができた。この問題に関しては、昨年度修正を終えた論文がようやく出版された。また、この論文で未だ未解決となっているひとつの場合について、グラフ理論の技術を使って解決する道筋を得た。特に、異なる固有値が4個しかない正則グラフの存在問題に帰着することができ、先行研究の成果を利用することができた。さらに、グラフのラプラス固有値のみたす不等式について、等号成立の条件を特徴付ける問題に取り組んだ。一般に等号成立の条件を完全に特徴付けることは困難であるが、いくつかの場合には完全な特徴付けが見つかり、また他のいくつかの場合には隣接行列を分割して得られる商行列の固有値の性質で特徴付けられることがわかった。これらグラフのラプラス固有値に関する研究成果をまとめた論文は執筆中である。
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