研究課題/領域番号 |
14F03917
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
鈴木 雅人 独立行政法人産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 主任研究員 (90357278)
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研究分担者 |
SHAHIEN Mohammed 独立行政法人産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | サスペンションプラズマ溶射 / プリカーサー溶液プラズマ溶射 / YSZ / セラミックスコーティング |
研究実績の概要 |
本課題はセラミック前駆体(プリカーサー)の溶液を原料に用いるプリカーサー溶液プラズマ溶射(SPPS)法の研究を行うことを目的としている.H26年度は前年度に引き続き溶射装置の安定な長時間運転のための検討(アルコール投入法の改善,各溶射パラメータの再検討)を通じ,当該プラズマ溶射装置運転技術およびアルコール投入技術の習得に注力した. SPPS法では,①金属錯体の溶液をプラズマジェットにより分解,②反応により酸化物を生成,③酸化物の溶融,④相手材に吹きつけて製膜,といった幾分複雑な過程を経る.一方,セラミック微粉末とアルコールによる懸濁液(サスペンション)を溶射材料に用いるサスペンションプラズマ溶射法(SPS法)では,SPPS法と同様に液体材料を用いるものの,①プラズマジェットの熱によりアルコールが蒸発,②微粉末が凝集,③酸化物が溶融,④基材に吹きつけてコーティングを形成,というように化学反応を介さないため,プロセスの制御がその分容易となるものと考えられる.そこで,冒頭で述べた装置等の運転技術の習得に加えて,イットリア安定化ジルコニア(YSZ)の微粉末によるサスペンションを用いてSPS法によるセラミックスコーティングの製膜を試みた. 溶射装置の長時間安定運転技術の習得については,二重管ノズル先端位置,液管の位置固定法,プラズマのパラメータ等について再検討を行った.各々の詳細な結果については記述できないが,これらを最適化することによりSPS/SPPSプロセスの安定性は増し,1時間程度の製膜運転を複数回続けて行うことが可能となった. SPS法によるYSZコーティングの試作については,サスペンション濃度と溶射距離の影響に着目しこれらを更に詳細に検討すべく製膜作業を行った.現在,製膜した各コーティングサンプルを解析中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高温での長時間運転に伴う装置のトラブル(ノズル電極や絶縁部の劣化など)が頻発したことから,本来の目的であるSPPS法による製膜が行えなかった.そこで,上述の通り,長時間安定運転のためのセッティングおよびパラメータの改善に注力し,同時に運転操作およびメンテナンス技術の習得も進めた.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までの実績を踏まえ,今後はSPS法のみならずSPPS法による製膜を試みる.プリカーサー溶液の選定,溶射パラメータの検討により,SPPS法におけるコーティング組織制御の主要パラメータを明らかにする.
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