研究実績の概要 |
本研究では、すばる望遠鏡やIRSF望遠鏡などを利用して、惑星および星形成領域における赤外円偏光および直線偏光観測を行うことを目指している。惑星形成の場である原始惑星系円盤の観測には、0.1秒角程度の解像度が不可欠であり、8m級望遠鏡と補償光学の利用が不可欠である。また、星形成領域においても、大規模な系統的円偏光観測は行われていない。 本研究のため、1年目は南アフリカにある近赤外線サーベイ望遠鏡 IRSF を用いて、 星形成領域の円偏光サーベイ観測を行なった。その結果、以下のような新知見が得られた。(1)ほぼすべての領域において広がった円偏光領域を初めて検出した。その空間広がりは最大1pc近くもある。(2)NGC6334領域において、過去最大となる偏光度(CP(K)=22%)を発見した。(3)その円偏光の原因が、磁場で整列を受けたダストによる多色吸収であることを、観測領域の他の観測から得られている物理パラメータを引用しつつ、モンテカルロシミュレーションにより定量的に再現した。(4)円偏光度と、赤外光度から推定される中心星質量との間に非常に良い相関を初めて発見した。以上の結果を欧文査読論文として出版した(Kwon et al. 2014, ApJ, 795, L16)。これによって、赤外円偏光が、星・惑星形成領域研究の重要なツールとなることが示された。 本研究は、今後、円盤スケールでの円偏光と生命のホモキラリティーの議論を初めて行うことにつながる。
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