研究課題/領域番号 |
14F04033
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北川 進 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 教授 (20140303)
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研究分担者 |
PANDA Tamas 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 多孔性配位高分子 / 固溶体 / 触媒 |
研究実績の概要 |
金属イオンと架橋性配位子からなる多孔性配位高分子(以下Porous Coordination Polymer, PCPと呼ぶ)を用いた酸素還元触媒を合成するため、初年度は結晶構造中の触媒部位の制御技術として、構造欠陥の導入の検討を行った。特にZr4+、Hf4+、Al3+、Ga3+イオンからなるPCPにおいて、これら金属を結晶中で固溶化させるため、Zr4+/Hf4+の混合、およびAl3+/Ga3+の混合をそれぞれPCP中で検討した。その際、これまでは金属固溶については溶液法によってのみその合成検討がなされてきたが、本研究では固溶化について固体状態における手法を選択した。具体的には遊星ボールミルを乾式下において用いた。 例えばAl3+とGa3+からなるそれぞれ構造がわずかに異なるPCPを用い、所定量の粉末をボールミルにて混合させると、これら金属イオンが均一に分布したPCP結晶構造が得られることがわかった。粉末X線回折測定から、いわゆるベガーズ則に則った構造変化が連続的に観察される。またこの処理にともない、Al3+のみ、あるいはGa3+のみからなるPCPと比べ、異なるガス吸着特性を示すことを確認した。この固体状態における金属イオン固溶法はこれまでの溶液法では困難であった固溶体合成に有用であり、現在価数の異なる金属イオンの固溶化を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
酸素をはじめとするガス分子の触媒特性を多孔性配位高分子(PCPと呼ぶ)に付与する場合、金属イオンの活性、分布を制御する必要があり、これまでの手法では高い触媒特性を付与する指針はなかった。本研究成果では固体状態における金属イオン固溶化に成功しており、この手法で得られた準安定状態(すなわち高触媒活性)のPCPの触媒特性が期待される。次年度の触媒特性評価に向けた物質設計の指針が立てられたため、順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
初年度で得られた固体状態における多孔性配位高分子(PCPと呼ぶ)の金属イオン固溶化手法を利用し、次年度ではPCP結晶中に様々なアプローチから高触媒活性点の導入を試みる。特にZr4+イオンやHf4+イオンからなるPCPの金属サイトにTi3+やCr3+イオンなどを導入することにより、金属欠陥サイトを高密度で導入することにより、そのサイト近傍におけるガス分子の活性化および触媒反応への展開を試みる。
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