研究課題/領域番号 |
14F04044
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
李 玉友 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30201106)
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研究分担者 |
NIU Qigui 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | 環境技術 / 土木環境システム / バイオマス / バイオエネルギー / メタン発酵 / 消化液 / 窒素除去 / Anammox |
研究実績の概要 |
本研究は廃棄物系バイオマスのエネルギーを図るためのトータルシステムの合理化と技術革新を目指すため、メタン発酵廃液からの窒素除去に対応する新規アナモックスプロセスを開発しようとするもので、具体的に次の研究項目に取り組んだ。 (1)メタン発酵廃液の水質解析および亜硝酸酸化プロセスの検討:6つの異なるメタン発酵施設から採集したメタン発酵消化液の水質を分析してCOD, 全窒素、アンモニア窒素などの水質組成を把握した。全窒素濃度は140mg/Lから4670mg/Lの幅広い範囲にあった。また、クローニング法により6種類の消化液におけるメタン生成古細菌、真正細菌および共生酢酸生成細菌の群集構造を明らかにした。 (2)UASB型Anammoxプロセスタートアップと負荷能力の検討:新しい窒素除去プロセスを研究するため、まずその要素ユニットであるUASB型Anammox反応槽を稼働させて微生物の驯致を図り、投入基質濃度と負荷による影響および微生物の活性を把握した。2.4kgN/d/m3の負荷でTN300mg/Lと3.6kgN/d/m3の負荷でTN450mg/Lの条件においてAnammoxプロセスは安定的に運転していた。アンモニアの除去率は95%以上、TN除去率はそれぞれ85.5%と84.4%に達した。また、5.6 kgN/d/m3の負荷でTN濃度を700mg/L、350mg/L、450mg/L及び550mg/Lの4つの段階で変化させて連続実験を行った結果、TN除去率はそれぞれ66.4%、84.1%、83.3%と73.2%であった。Han and Levenspielモデルにより計算した結果、流入基質のTN濃度が459mg/L以上になると、窒素除去速度は10%低下することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の計画では、メタン発酵廃液からの窒素除去に対応する新規アナモックスプロセスを開発するため、まずメタン発酵廃液の水質解析およびUASB型Anammoxプロセスタートアップと負荷能力の検討を予定していたが、当初計画した目標はおよそ達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度はおおむね計画通りの成果が得られたので、平成27年度以降は、前年度に実施された消化液水質分析とAnammox連続処理実験によって得られた基礎的知見を基に,次の3項目の小テーマに取り組む予定である。 (1)処理水の返送によるAnammox運転安定性の向上: 前年度に実施されるUASB型反応槽の連続実験により流入基質濃度が高い場合にはAnammoxの阻害が発生することを踏まえ、処理水の返送による濃度制御を行い、プロセスの安定運転を図る。 (2)ハイブリッド単槽式脱窒素プロセスの研究:完全混合反応槽に担体を投入することにより、好気性アンモニア酸化細菌(AOB)と嫌気性Anammox細菌を共存させ、一槽式Anammoxの連続実験を行い、その脱窒性能、関連細菌の活性および菌体付着した担体の状況を検討し、ハイブリッド単槽式脱窒素プロセスを開発する。 (3)各ユニットプロセスにおけるAOB、NOB、AHBおよびANAMMOXの微生物群集構造の動態解析を微生物活性および分子生物学的手法で行う。
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