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2014 年度 実績報告書

過渡レンズ効果を用いた液体光学素子開発と応用

研究課題

研究課題/領域番号 14F04049
研究機関東京工業大学

研究代表者

佐藤 勲  東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (10170721)

研究分担者 DOAN Hong Duc  東京工業大学, 理工学研究科, 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2014-04-25 – 2016-03-31
キーワード液体光学素子 / レーザー加工 / ビームプロファイル
研究実績の概要

本年度は研究計画に従って以下の課題を解決した:
・フォトダイオードとビームプロファイラーを用いて熱レンズ効果による液体光学素子における励起強度や吸収係数やキュベットの形状などの影響を調べ、自然対流が発生する条件を求めた。その上で、液体光学素子の安定性の限界を示すとともに、自然対流の抑制方法を提案した。また、自然対流を考慮した熱流体計算とビーム伝搬法を連携するコードを開発した。そのコードにより自然対流が発生する際のビーム歪みを予測し、その上に改善策を提案した。
・液体光学素子としてビームシェイパを用いてナノ秒レーザパルスのガウシアンビームをスーパーガウシアンビームやドーナッツビームにシェイピングし、これらのレーザビームを用いてSiCの穴あけを行って、その際の現象を超高速カメラにより可視化した。可視化結果を用いてレーザー加工における加熱用の顕熱、相変換の潜熱とプラズマ生成エネルギーの割合を解析し、その割合とビームプロファイルの関係を調べた。
・実験結果をより深く理解するため、材料の融解と蒸発過程を経るナノ秒パルスレーザ加工過程を数値計算により詳細に検討する。数値計算には、固体・液体・気体の3相を取り扱うことのできる VOF(Volume of Fluid)法を用いて、モデルでは固液相変換と液相の蒸発、固相の昇華を考慮した。その解析結果を用いてレーザー加工におけるビームプロファイルと加工穴の形状の関係を理論的に説明し理解した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(交付申請書に入力した「研究目的」に対する本年度までは以下の項目を実行した:
・液体光学素子における自然対流の発生や光学パラメータの過渡性を調べた。その上、安定性の課題を解決し、液体光学素子の応用範囲を提案した。さらに、数値計算により自然対流の発生によるビームの歪みを予測して、その対策も提案した。
・液体光学素子を用いて近接場におけるビームシェイパ技術に挑戦する。この技術をナノ3Dプリンターへ応用する際の適応性・制御性を検討する。現在では近接場におけるビームシェイパ技術の原理と実験装置・実験方法を検討している段階であり、来年度にその技術の実現と理論的な検証をする予定である。
・レーザー加工におけるビームプロファイルの影響を実験的、理論的に検証した。数値計算の結果を用いて実験傾向を説明し、加工過程におけるエネルギーや物質の輸送とビームプロファイルの影響を明らかにした。その上、ビームプロファイルの制御による新たな特集なレーザー加工方法を提案した。

今後の研究の推進方策

(今後の推進方策)
本年度まで解決できなかった課題を引き継ぎかつ新たな課題設定で来年度は以下の方針で研究を進める予定である。
・液体光学素子を用いて近接場におけるビームシェイパ技術に挑戦する。今年度までに構築した実験装置で引き続き近接場におけるビームシェイパ技術の実装を行う。また、理論的に検証するため、双方向ビーム伝搬法の計算コードを開発する。その実験と数値計算により近接場におけるビームシェイパの特性を調べる。
・本年度の研究で提案したベッセルビームによるレーザー加工技術を用いて太陽電池基盤のパターニングを行う。ベッセルビームとガウシアンビームにより加工された溝の加工品質と加工速度を評価する。その上で、ベッセルビームの利点を議論する。
・ポリマーブレンド技術においては異なるポリマーの粘性や表面張力がブレンド品質に大きく影響する。このため、レーザー照射と選択加熱によりポリマー液体の粘性や表面張力特性を制御することによりブレンド技術の向上が期待される。本研究はレーザー加熱によりポリマーブレンドの新たな技術を開発する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 熱レンズ効果を用いたナノ秒パルスレーザのパルスシェイピング2014

    • 著者名/発表者名
      キム ビョンギ, 井上 涼太, ドアン ホンドク, 伏信一慶
    • 雑誌名

      日本機械学会論文集

      巻: 80 ページ: 815-825

    • DOI

      http://doi.org/10.1299/transjsme.2014tep0200

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] INFLUENCE OF LASER BEAM PROFILE ON LASER DRILLING: A NUMERICAL INVESTIGATION2014

    • 著者名/発表者名
      D.H. Doan, I. Satoh, K. Fushinobu
    • 学会等名
      ISTP25
    • 発表場所
      Krabi, Thailand, Aonang Villa Resort
    • 年月日
      2014-11-04 – 2014-11-07
  • [学会発表] STABILITY OF CW LASER-INDUCED THERMAL LENS EFFECT IN LIQUID OPTICAL DEVICE2014

    • 著者名/発表者名
      B. Kim, Y. Akamine, D.H. Doan, K. Fushinobu
    • 学会等名
      ISTP25
    • 発表場所
      Krabi, Thailand, Aonang Villa Resort
    • 年月日
      2014-11-04 – 2014-11-07
  • [学会発表] Influence of laser beam profile on dynamics of laser-induced plasma2014

    • 著者名/発表者名
      H.D. Doan, N. Iwatani, X.T. Le, H.T Pham, A.T. Le, I. Sato, K. Fushinobu
    • 学会等名
      RCMME 2014
    • 発表場所
      Hanoi, Vietnam, Hanoi University of Science and Technology
    • 年月日
      2014-10-09 – 2014-10-10
  • [学会発表] 液体光学素子の開発 - 熱工学からの挑戦2014

    • 著者名/発表者名
      K. Fushinobu, D.H. Doan
    • 学会等名
      光産業技術振興協会多元技術融合光プロセス研究会2014
    • 発表場所
      産業技術総合研究所 臨海副都心センター別館
    • 年月日
      2014-07-17 – 2014-07-17
    • 招待講演
  • [学会発表] Nanosecond time-resolved visualization of short pulse laser ablation processes for various laser beam profiles2014

    • 著者名/発表者名
      H.D. Doan, N. Iwatani, H. Sasaki, S. Matsumura, K. Fushinobu
    • 学会等名
      ITherm 2014
    • 発表場所
      Florida, USA, Walt Disney World Swan and Dolphin Hotel
    • 年月日
      2014-05-27 – 2014-05-30

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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