本研究では、過渡レンズ効果に基づく液体光学素子としてレーザ光のビームシェイパを開発し、それらをレーザ加工に応用する際の光強度分布の影響を調べるとともに、次世代のビームプロファイル整形による特殊加工技術への展開について基本的な検討を行ってきた。本年度は、研究計画に従って、以下の課題に取り組み、成果を得た。 ・液体光学素子としてビームシェイパを用いてナノ秒パルスのガウスビームをトップハットビーム、環状ビーム、ベッセルビームに変形し、太陽電池基盤のパターニングを行った。加工品質(溝幅、絶縁性など)と加工速度を評価対象として、ビームプロファイルの違いによる加工状況を検討し、ベッセルビームが加工に最もふさわしいビームプロファイルであることを明らかにした。すなわち、ベッセルビームを用いた加工は熱影響が少なく、溝幅を小さくでき、フェムト秒レーザを用いた加工とほぼ同じ加工品質が得られる。 ・液体光学素子としてビームシェイパを用いてナノ秒パルスのガウスビームをトップハットビーム、環状ビームにシェイピングし、これらのビームプロファイルを用いてSiC基盤の穴あけを行い、その際の加工現象を可視化した。また、加工現象の数値計算を行い、可視化結果と比較することで、モデルの正確性を確認した。 ・ビームシェイパと新たに提案した光学系を用いて実験的にベッセル分布を持つエバネッセント光の発生を観測し、前年度に提案した新光学系の原理と効果を確認した。 ・これらの知見をもとに、フェイズフィールドモデルを用いて、ポリマーのブレンド工程におけるレーザ照射と選択加熱によるポリマーブレンド融液の粘性や表面張力の制御可能性を検討した。
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