研究課題/領域番号 |
14F04053
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研究機関 | 豊田工業大学 |
研究代表者 |
大石 泰丈 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80360238)
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研究分担者 |
CHENG Tonglei 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 非線形光学 / フォトニック結晶ファイバ / ソリトン / 第二高調波 / スーパーコンティニューム / 三次非線形 |
研究実績の概要 |
(1)GeTeSe系のカルコゲナイド光導波路を用いて10μmに亘るSC光の発生に成功した。 (2)テルライトPCFを用いて、高効率分散波発生に成功した。励起光からの変換効率は65%であった。この結果より、ソリトン波を利用した高効率波長変換が可能であることを実証した。 (3)四光波混合では近赤外励起で10μmにもおよぶアイドラ―光が発生しえることを理論的に予想されている。その特性を実現するため、素材の屈折率分散特性設計と素材に適した導波路設計に取り組み、超広帯域スーパーコンティニューム光、分散波および四光波混合による中赤外コヒーレント光発生に実現に最適なテルガラスガラス、フォスフォテルライト、カルコゲナイドガラス等の素材の開拓と光導波路構造の検討を進めた。 また、カルコゲナイドガラスやテルライトガラスをコアとし、クラッドとしてテルライトガラスやフォスフォテルライトガラス等を用いたハイブリッドPCFの基盤技術の構築を進めた。その結果、カルコゲナイドガラスコア・テルライトガラスクラッドのハイブリッドPCFの作製に初めて成功した。このPCFの波長分散と構造との相関を詳細に検討した結果、1から3μmに亘り低分散にできるPCF構造があることを見出した。その構造を持つPCFにより2800nmの帯域の光パラメトリック増幅が可能であることを明らかにした。この広帯域光パラメトリック増幅は石英ファイバでは実現できないカルコゲナイドPCFの大きな特徴であることを明らかにした。 さらに、カルコゲナイドガラスコア・テルライトガラスクラッドのハイブリッドPCFを用いて、波長850から1502 nmにかけて第二高調波による波長可変の波長変換が起こることを初めて観測した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
カルコゲナイドガラスコア・テルライトガラスクラッドのハイブリッドPCFを用いて、当初予想していなかった波長850から1502 nmにかけて第二高調波による波長可変の波長変換が起こることを初めて観測した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の成果を基に、カルコゲナイドガラスコア/テルライトガラスクラッド、または、カルコゲナイドガラスコア/カルコゲナイドガラスクラッドのHPCF(Hybrid PCF)構造により、できるだけ低い励起光パワーでSC光が10から20μmの中赤外域にまで拡張できるかを検証する。HPCF構造を取ることにより波長分散の設計自由度は上がる。低い励起光パワーでPCF素材の赤外吸収端にまで、SCが拡張できる可能性が期待できる。波長1から2μmで低いパワーで励起して、SCができるだけ長波長に発生可能な波長分散特性およびそれを実現するためのHPCF構造を解明し実現する。ソリトン波から分散波発生による波長可変狭帯域中赤外光の発生を検討する。また、HPCF構造による波長分散制御を進め、広帯域光パラメトリック増幅を実現するために必要な零・平坦化した波長分散をテルライトおよびカルコゲナイドHPCFを用いて実現する。同HPCFを用いて広帯域光パラメトリック増幅を実証し、テルライトおよびカルコゲナイドHPCFの同光増幅の特性限界を解明する。さらに同光増幅を用いたスローライトの制御、相関光子対生成等の光波制御および量子情報通信への応用可能性について検討する。さらに、PCF中の第二高調波発生メカニズムについても検討を進める。
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