研究課題/領域番号 |
14F04063
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
関 修平 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30273709)
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研究分担者 |
PADALKAR Vikas 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | 蛍光共鳴エネルギー移動 / 蛍光色素 / 固体蛍光 / 励起状態プロトン移動 / 蛍光プローブ / ナノ加工 / ナノワイヤー / バイオセンサー |
研究実績の概要 |
当該年度において本研究者は、受入研究者らが開発した単一粒子ナノ加工法(Single Particle Nanofabrication Technique, SPNT)によるナノ構造体形成のビルディングブロックとなる蛍光色素の合成と基礎物性の解明に取り組んだ。SPNTによって作成されたナノ構造体中では蛍光色素が密に凝集するため、蛍光性ワイヤーとしての機能発現のためにはモノマーとなる蛍光色素には高い固体発光特性が要求される。このような要請から、本研究では蛍光ユニットとして励起状態分子内プロトン移動(ESIPT)蛍光色素を採用した。ESIPT色素は固体中でも高い量子収率を有し、また光励起によってエノール型からケト型への異性化を起こすためストークスシフトが大きく、自己吸収が抑えられるなど、蛍光センサーとして適した分子系である。本年度は、吸光係数と蛍光量子収率の増大を目指し、代表的なESIPT色素である2-(2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾールにフルオレンを直結した分子の合成を設計した。SPNTによるナノ構造化に必須の現像プロセスにおいて分子の溶解性が重要なファクターとなるため、溶解性チューニングのためにフルオレン上のアルキル基の長さを段階的に変えた一連の分子(R =メチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル基)の合成に成功した。いずれの色素も固体状態で良好な量子収率を示し、特にヘキシル基を有する誘導体は最大で67%の値を示した。また、直線状の共役骨格を有するにも関わらず、メチル基以外を有する分子は一般的な有機溶媒に高い溶解性を示し、SPNT法への適用可能性であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目標である蛍光性ナノワイヤーの構成要素である固体蛍光性ESIPT色素の合成と基礎的特性の解明に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度において開発した蛍光色素に対して、SPNT法によるナノワイヤー形成を試みる。その後、作成したワイヤーの構造を調べ、最終的に蛍光センシング機能の検討をおこなう。 加えて、非常に高い固体蛍光量子収率を利用した汎用性発光体、特に有機EL材料としての応用展開などについても残る研究期間内に積極的に展開していく予定である。
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