研究課題
本研究では、半月周性の産卵リズムをもつクサフグを研究モデルとして、月周産卵リズムの形成におけるKiss-GnRH系の機能とその分子機構を明らかにする。これまでの研究から、GnRH2、Kiss、Kiss受容体の遺伝子発現が同期して日周および概日変動し、これらの生殖調節神経ホルモンの発現が松果体にある概日時計と松果体から分泌されるメラトニンによって調節される可能性が示された。本研究では、KissニューロンとGnRHニューロンの機能形態学的相互関係を明らかにし、それを基盤として、メラトニンや弱光、さらに水温によるKiss-GnRH系の機能の調節機構を明らかにする。平成28年度では、次の1)と2)の解析を行った。1)予定していた弱光暴露実験は、魚が採集できず実施できなかった。月光によるKiss-GnRH系の調節に関する実験として、Kiss-GnRH系の遺伝子の発現の月周変動を検討した。産卵期のクサフグの間脳で、kiss2とkiss2r、gnrh1の発現量は、夜間において月齢15日(満月)に発現量が上昇した。一方、gnrh2は月齢10日と25日に発現量が上昇した。gnrh3は、月齢に伴った変化を示さなかった。2)KissによるKiss-GnRH系の調節を検討した。未成熟なクサフグ1歳魚、産卵場で採集した成熟個体共に、Kiss2投与によりkiss2rとgnrh1の発現量は用量依存的に増加した。一方、gnrh2とgnrh3の発現量は変化が見られなかった。下垂体においては、fshbとlhbの発現量がKiss2投与によって増加した。これらの結果から、Kiss2は、Kiss受容体を介してGnRH1の発現を刺激し、FSHとLHの合成量を増加させることが明らかになった。また、このKiss-GnRH1系の月齢に伴った機能亢進が満月の夜の産卵を引き起こすことが示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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