研究課題/領域番号 |
14F04075
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
屋 宏典 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (10177165)
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研究分担者 |
ASIKIN Yonathan 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | シークヮーサー / 機能性 / Smelly bean / Dog fruit / 精油 / におい / ガスクロマトフラフ / ストレス |
研究実績の概要 |
本年度はまず熱帯・亜熱帯食資源として沖縄のシークヮーサーおよびインドネシアのSmelly beanとDog fruitのにおい(pleasant and unpleasant odors)の特性を解析した。最終的には、培養細胞系などを用いて、におい抽出物および特定揮発性物質のストレス低減効果やその分子メカニズムの解析を目指した。本年度の研究成果は以下の通りである。 ○シークヮーサー果皮精油のにおい特性の解析 シークヮーサー3系統の果皮から水蒸気蒸留法により精油を調製し、GC/FIDおよびGC/MSによるにおい成分の同定と定量分析を行った結果、系統間でにおいの成分組成が異なることが明らかとなった。また、GC-におい嗅ぎ法によりにおい成分の質や強度を分析した結果、主要成分であるリモネンやγ-テルピネンとともに、微量なアルコール類やアルデヒド類が香りの形成に重要な役割をもつことが確認できた。 ○Smelly beanとDog fruitのにおい特性の解析 Smelly beanとDog fruitの生育ステージサンプルのにおい成分をヘッドスペースガスクロマトグラフィーで分析した結果、熟度によりにおいの成分組成が大きく異なることが明らかとなった。また、におい特性には揮発性の含硫化合物の寄与が大きいと推定され、GC/MSによりpleasant odorとunpleasant odorの探索および同定を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の試料は沖縄産とインドネシア産の2つからなる。それぞれの達成状況は以下の通りである。○シークヮーサー果皮精油のにおい特性の解析 シークヮーサー3系統の精油のにおい成分の組成や特性について、GC/FID、GC/MSおよびChemSensor(質量分析計をセンサーとして使用するMSセンサー)を用いて明らかにすることができ、その成果は学会発表を行い、学術論文にすることができた(13.研究発表を参照)。また、精油の構成成分の機能性(ストレスと関係する抗酸化性)の評価にすでに着手しており、研究は予想以上に順調に進展していると考える。○Smelly beanとDog fruitのにおい特性の解析 Smelly beanとDog fruitのにおい特性のひとつとして、揮発性の含硫化合物群が寄与していることを明らかにしたことは大きな成果である。pleasant odorとunpleasant odorの識別までは完了することができなかったが、研究はおおむね順調に進展していると考える。 以上の進捗状況を総合して、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
シークヮーサー、Smelly beanおよびDog fruitからのにおい抽出物ならびにpleasant odorとunpleasant odorをもつ特定物質について、培養細胞を用いてストレス低減効果や分子メカニズムを解析する。具体的には、BV2ミクログリア細胞のMAPK(mitogen-activated protein kinase)経路におけるNO、TNF-α、IL-1β、IL-6などの炎症マーカーの阻害活性を解析する。これにより、今回用いた熱帯・亜熱帯食資源のにおいとストレス低減の関係だけでなく、これまで解明されていないにおいの質、すなわち、快い香りや不快臭との関連まで踏み込んだ複合的なストレス低減の分子メカニズムを明らかにできるものと考えている。
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