研究課題
近年、食品の香り成分によるストレス低減や疲労回復効果等の研究が行われ、香りのもつ新たな機能性として注目されている。したがって、食事の素材や料理の香りによりストレス低減効果も期待できるが、食品の香りはすべて快い香りだけでなく、素材により不快臭となりストレスを感じるものもある。そこで、特徴的な香りを呈する素材としてインドネシアのSmelly beanを用いて、官能的なにおい特性の解析を行った。また、シークヮーサー精油を用いて、培養細胞系での抗炎症作用や、精油の香り存在下でヒトのストレス低減効果の検証を行った。本年度の研究成果は以下の通りである。○Smelly beanのにおい特性の解析:Smelly beanの各香気成分をGC-におい嗅ぎ法により、におい成分の質や強度を官能的に分析した結果、最も不快なにおいを呈したのは含硫化合物であった。一方、香気成分として微量なアルデヒド類やアルコール類は快い香りであり、不快なにおいと快い香りの微妙なバランスによりユニークな香気特性が形成されていることが示唆された。○シークヮーサー精油の抗炎症作用の検証:シークヮーサー精油およびその構成成分(リモネン、γ-テルピネン)のストレス緩和効果として、マウス脳由来ミクログリア細胞を用いて、抗炎症作用の検証を行った。その結果、精油やその構成成分を添加することで、無添加の場合に比べて抗炎症作用のマーカーであるNOの産生が有意に抑制された。○シークヮーサー精油のストレス緩和効果の検証:香りのない個室環境(コントロール)とシークヮーサー精油の香りのある個室環境でストレスを伴う作業(オドボール課題)を実施し、作業前後の心理的評価および生化学的評価を行った。その結果、α-アミラーゼは作業前後で変化は認められなかったが、POMS(気分プロフィール検査)では香りのある個室環境でリラックス効果が示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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LWT-Food Science and Technology
巻: 66 ページ: 340-347
10.1016/j.lwt.2015.10.039
Journal of Science of Food and Agriculture
10.1002/jsfa.7208