研究課題
私達はこれまでに、日本住血吸虫症の患者の診断に高感度・高特異性を示す抗原分子、および保虫宿主(スイギュウおよびイヌ)の診断に高感度・高特異性を示す抗原分子を3種類(SjTPx-1、Sj1TRおよび Sj7TR)同定している。一方これら抗原分子は、それぞれ、患者と保虫種宿主の間で血清診断に用いたときの感度と特異性が異なるので、単一の抗原を両者の検査に共用できないという問題があった。そこで今年度は、これらを組み合わせることで、患者と保虫種宿主に共用できる抗原組成を検討した。3種類の抗原を同じモル数で2種類ずつ混合した3通り、および3種を混合した計4通りの抗原組成について、患者と保虫種宿主血清に対する感度・特異性をELISAで評価した。その結果、上記の抗原3種を同モル数で混合した組成で、各宿主血清に対する高感度(患者84.1%および保虫宿主80%)と髙特異性100%が観察された。この抗原組成は、日本住血吸虫症の患者および保虫宿主に共用できる血清検査法の開発に応用できると考えている。
2: おおむね順調に進展している
これまでに開発した組換え体抗原を組み合わせることで、日本住血吸虫症の患者および保虫宿主の血清検診断に共用できる抗原組成を決定した。次年度は、これまでに開発した組換え体抗原および同組成を応用して、ICTテストの開発を進めてゆく。
今回の共同研究では、これまでの既往の成果を踏まえて、患者と保虫宿主(スイギュウ)の血清診断に用いる簡易カードテスト(Immuno-chromatographic Test: ICTテスト)および、寄生虫感染貝を検出するICTテストを開発する。
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Parasitology Research
巻: 144 ページ: 1225-1228
doi: 10.1007/s00436-015-4312-7.
http://www.obihiro.ac.jp/~protozoa/index.html
http://www.obihiro.ac.jp/~tryp/index.html