研究課題/領域番号 |
14F04090
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
日下部 宜宏 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30253595)
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研究分担者 |
XU Jian 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | MAPK経路 / カイコ / シグナル伝達 |
研究実績の概要 |
MAPK経路は真核生物に広く保存されている増殖刺激やストレスなど細胞外シグナルを核へと伝達する経路であり、異物のパターン認識をつかさどるToll受容体や、近年、創薬ターゲットとして注目されているGPC受容体(R)からのシグナルもMAPK経路を介して伝達される。本年度は、ERK1/2、JUK1-3、p38の3つのMAPK経路から、それぞれ、ERK、p38、JUNキナーゼを単離し、dsRNAを合成した後、カイコBmN4SID-1細胞を用いてRNAiによる機能阻害解析を行った。その結果、これらのMAPKの単独機能阻害は、細胞の形態、増殖に影響を及ぼさなかった。このことはMAPK経路間でのクロストークの存在を示唆している。そこで、p38-cVenusMyc、ERK-cECFPHA、JNK-cmCherryFlagを発現する培養細胞を樹立し、多様なストレスや薬剤存在かでの各MAPKの挙動を簡便に解析できるレポーター細胞を作成した。これらの細胞を用いて、通常の培地に含まれる10%FBSがp38を活性化していることを見出したことから、現在、無血清培地への馴化を行っている。また、ERK、p38、JUNキナーゼ機能阻害細胞よりRNAを抽出し、次世代シーケンサー(RNA-Seq)を用いたRNAプロファイル解析用のライブラリー作製を終了した。 同時に、MAPK経路の上流因子であるTRAF6、TAK1、TAB1/2 についても、クローニングを終了し、細胞内局在解析用のレポータータンパク質発現ベクターを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MAPK関連因子の機能阻害解析や、レポーター細胞の樹立など計画通りに終了した。これらの結果は、次年度予定の計画の推進に必要かつ十分な成果である。 また、RNA-Seq解析についても最も手間のかかるライブラリー調整まで終了しており、今後はシーケンサーを使用した解析となる。 さらに、アンチエイジング剤として知られるラパマイシン関連遺伝子、特にカイコTOR (Target of Rapamicin) 1および2遺伝子をクローニングした。これらは各遺伝子が全長6,000塩基におよぶ大きな遺伝子で、現在配列の最終確認中である。この遺伝子の機能阻害実験などを行うことにより、カイコMAPK経路との接点を明らかにできる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度のRNA-Seqを継続し、そのデータを基に遺伝子ネットワークを推定する。次いで、この遺伝子ネットワークモデルを基に強い相互作用関係が明らかな遺伝子群(経路)について、TRAF6、TAK1、TAB1/2 などの上流因子の遺伝子機能阻害実験が及ぼす効果が、モデルから予測されるものと一致するか否かを検証する。具体的には、3種のMAPK経路とMAPK経路に属さない2経路について、RNAiによる機能阻害細胞における遺伝子発現の変動をPCRシステムにより解析し、検証を行う。 また、ラパマイシン関連遺伝子については、TORの機能阻害を行い、種々のアンチエイジング剤、老化促進剤処理の影響を解析する。その際、MAPK経路関連遺伝子を重点的に解析すると共に、遺伝子ネットワークモデルとの整合性についても実証実験により検証を行う。遺伝子ネットワークモデルの検証結果により、カイコMAPK経路関連遺伝子の遺伝子機能阻害細胞を用いて更なるRNA-Seq解析を行うか、TORの機能阻害細胞のRNA-Seq解析を行うかを決定する。
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