研究課題
アカハライモリ・トランスジェニック技術をこの動物の網膜再生系に実践適用することにより、イモリ体再生の主幹分子メカニズムに迫ることを目的に、以下の4つの項目の研究を行った。1.転写因子Pax6の機能を解析した。成熟した網膜色素上皮(RPE)細胞およびそこから派生する全ての細胞に、レポータータンパク質とshRNAの両方を、同時に強制発現させるトランスジェニックイモリを作製した。変態後の幼体(7ヶ月齢)をもちいて、眼球から神経性網膜を除去した後のRPE細胞の行動および網膜再生の様子を調べた。コントロール shRNAを発現させた場合には、RPE細胞は正常に神経性網膜とRPEの両方を再生した。一方、Pax6 shRNA-1を発現させ、Pax6の発現をノックダウンすると、RPE細胞は正常に上皮の特徴を失い分裂を開始したが、その後は神経性網膜やRPEを再生することはなく、最終的に筋線維芽細胞の特徴を示した。興味深いことに、この変化は、増殖性硝子体網膜症のようなヒトの外傷性網膜疾患にみられるRPE細胞の変化によく対応した。このことは、Pax6がイモリの網膜再生に不可欠であることを示すとともに、イモリの高い網膜再生能力が網膜外傷性疾患のメカニズムを改変する事で進化した可能性を示している。この成果は、イモリにおいてトランスジェニック技術を適用して遺伝子機能を明らかにした初めての例である。2.この成果を受けて、single cellトランスクリプトームにより、Pax6のノックダウンによって影響が出る遺伝子のスクリーニングを始めた。3.網膜再生および4.肢再生過程で発現する新奇なイモリ固有遺伝子を単離した。これらの機能を解析する新たなトランスジェニックイモリの開発を始めた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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