研究課題
胆肝癌(CCA)は、最も予後が悪い悪性腫瘍である。近年、がん幹細胞の概念が導入され、CCAにおいてもこれらの存在が示唆され、これを用いたCCA悪性化メカニズムの解明が期待されている。本研究では、CCAとCCA幹細胞を中心に、悪性腫瘍分化に関わる特異的糖蛋白質の同定と、その修飾構造の詳細な構造解析、およびその生物学的意義を解析した。まず、患者組織から確立されたCCA培養細胞の脱分化モデルの樹立を行った。幹細胞培地にてCCA細胞を長期培養したところ、最も未分化とされるM055CCA細胞においてsphere状の幹細胞様変化が観察され、FCSを添加することによって、再分化することが判明した。sphere状態で培養を続け、20回目の継代培養を経た細胞において各種マーカー類の解析を行ったところ、sphere状態のCCAにはSox2をはじめとする幹細胞マーカー群、およびo-GlcNacylation修飾タンパク質(OGP)の発現が亢進する事が判明した。同時進行で樹立を行ったGlioma幹細胞についても同様にo-GlcNacylationの顕著な増加が観察された。そこで、o-GlcNacylationに関わる酵素GFAT阻害剤6-Diazo-5-oxo-L-norleucineおよび活性化剤Glutamine/N-Acetyl Glucosamineの処理をおこなったところ、前者においては幹細胞形成阻害が、また後者においては分化誘導阻害が顕著であることが判明した。さらに、修飾分子の同定をClick-IT®-GlcNAz法を用いた質量分析によって行い、現在までに幹細胞形成に重要な23種のOGPの同定に成功している。興味深いことにこれらには転写や染色体リモデリングの関連分子が多く含まれており、現在詳細な検証実験を行っている。がん幹細胞モデルにおいて、o-GlcNacylationが悪性分化に関わる分子発現の調節に関わっており、修飾タンパク質や責任酵素の阻害剤ががん幹細胞による悪性分化の阻害に有効である可能性が示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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