研究課題/領域番号 |
14F04104
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
泉 哲郎 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (00212952)
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研究分担者 |
WANG Hao 群馬大学, 生体調節研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | 調節性分泌 / Rab27 / 獲得免疫 / Th1/Th2 |
研究実績の概要 |
本研究は、調節性分泌機構で中心的な役割を果たすRab27関連分子に着目しつつ、調節性分泌機構の獲得免疫応答における役割を明らかにすることを目的としている。 平成26年度は、まず、獲得免疫応答に関連する各臓器におけるRab27の二つのアイソフォームa, bの発現を検討した。その結果、Rab27aは様々な臓器に偏在しているが、Rab27bは、主に脾臓、肺、皮膚で発現していることを見出した。獲得免疫とは、外来抗原に対する抗原特異的な免疫応答であるが、肺や皮膚など外来抗原に暴露される臓器が、その誘導に重要な場である。Rab27の獲得免疫応答における役割を明らかにするために、1)肺における喘息モデル(Th2型)、2)皮膚における接触性皮膚炎モデル(Th1型)を用いて、野生型とRab27欠損マウス間で、各疾患モデルにおける表現型を比較した。Rab27a、Rab27b、Rab27a,b 両方がそれぞれ欠損したマウスを用いて、喘息モデルの表現型を検討したが、いずれも、野生型のそれと大きな差を認めなかった。Rabタンパク質は、GTPと結合した活性型Rabと結合するエフェクター分子を介して作用する。そこで11種類あるRab27エフェクター分子のうち、肺と皮膚の両方に発現している分子を同定し、それら分子の遺伝子欠損マウスを用いて、上記疾患モデルの表現型を調べた。その結果、1)喘息様気道炎症の増悪を認めたが、皮膚炎では差を認めないもの、逆に2)喘息様気道炎症の軽減を認めたが、皮膚炎が増悪したものがあり、エフェクター分子の種類により、欠損マウスが対照的な表現型を示すことがわかった。以上から、Rab27エフェクター分子が、獲得免疫応答の制御に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、Rab27エフェクター分子が獲得免疫応答の制御に関与していること、さらに、エフェクター分子の種類により、相反する作用を有していること、を見出しており、本申請研究は順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、遺伝子欠損マウスが喘息モデルや接触性皮膚炎モデルにおいて野生型と異なる表現型を示したRab27エフェクター分子に焦点をあて、1)発現細胞の同定(肺や皮膚の細胞だけでなく、他の免疫細胞も含めて、網羅的に解析する)、2)発現細胞における機能評価、3)受け身移入や骨髄キメラマウスを用いて、遺伝子欠損マウス由来の細胞が表現型へ与える役割などを解析し、表現型出現の機序を解明する。その他のRab27エフェクター分子に関しても、獲得免疫応答疾患モデルにおける表現型を調べ、同様の検討を行う。
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