研究課題/領域番号 |
14F04105
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
山本 格 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30092737)
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研究分担者 |
ABDELGAWWAD Sameh 新潟大学, 医歯学系, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | 糸球体 / 濾過 / プロテオミクス / リン酸化 / 免疫沈降 |
研究実績の概要 |
腎糸球体の濾過装置を構成する分子群は糸球体の生理・病理に深く関わっている。それらの分子の中でも、特に、Nephrinはその中心的役割を担っていることが示されている。平成26年度の本研究はNephrinの機能にそのリン酸化を質量分析プロテオミクスで網羅的に解析することを目指した。 ラット腎臓より、通常の篩法でタンパク質分解酵素阻害剤(1 mM PMSF, 1 μg/ml leupeptin, 1 μg/ml pepstatin A)、phospatase阻害剤(1 mM Na3VO4)添加PBSを用いて糸球体を単離し、タンパク質を精製した。そのタンパク質を抗phosphotyrosineが抗体を用いて免疫沈降し、得られた沈降物を2次元ゲル電気泳動法、Western blot法、質量分析プロテオミクスで解析した。 その結果、糸球体の濾過装置を構築するNephrin、SHPS-1、Neph1、FAK1 などのチロシンリン酸化が検出された。Nephrinでは、Y1204とY1228などがNck と、Y1152 などがPI3K との結合に重要であることが分かった。 正常ラットの糸球体は腎臓の他の部位、皮質全体や髄質と比較して、リン酸化タンパク質の割合が多く、糸球体の生理機能である濾過は多くのタンパク質のリン酸化で制御されていることが推定された。特に、濾過膜(slit膜)を構築するNephrinには多くのリン酸化部位が確認され、そのリン酸化と脱リン酸化が糸球体濾過の制御に重要であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
正常の糸球体タンパク質の特に、濾過膜を構成するタンパク質のリン酸化部位の網羅的解析が終了し、概ね、目標通りの解析が終了した。一方、脱リン酸化の過程を経時的に把握することには成功しておらず、質量分析プロテオミクスによるその手法の確立を行う必要があった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、糸球体濾過膜構成タンパク質の生理的状態および病的状態(糸球体障害モデル)によるリン酸化のダイナミクスを網羅的に解析し、それらの制御と破綻と生理的濾過の維持と濾過の障害との関係を明らかにし、糸球体障害の治療ターゲットを選定したいと考えている。
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