研究課題/領域番号 |
14F04206
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
木村 秀夫 独立行政法人物質・材料研究機構, 光・電子材料ユニット, グループリーダー (50343843)
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研究分担者 |
JIA Tingting 独立行政法人物質・材料研究機構, 光・電子材料ユニット, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | マルチフェロイック / 薄膜 / 非鉛 / 強誘電体 / 強磁性体 / 格子整合 / 圧電応答顕微鏡 / 磁気力顕微鏡 |
研究実績の概要 |
【研究概要】これまでに圧電体、強誘電体、磁性体の観点から酸化物薄膜に関する研究が実施されて、これらを総合したマルチフェロイック材料が近年注目されている。従来の研究はセラミックス形態が中心で、単結晶や薄膜を用いて物性の本質に迫る研究は少ない。応力と歪みによる特性変化が重要で、強誘電特性、強磁性等と圧電特性、機械的特性等を比較して研究を進めることが望まれる。それには薄膜形態での研究が望ましく、本研究ではレーザー堆積法(PLD法)により薄膜を成膜し、界面構造、圧電・強誘電・磁気特性を調べ、界面の微細構造・応力・歪みが特性に与える影響を明らかにする。 【研究実績】Bi5FeTi3O15に代表される層状化合物Aurivillius系列の単層膜をPLD法により基板結晶(Si等)に成膜し、透過電子顕微鏡(TEM)観察、強誘電特性としてのP-Eループ測定を強誘電体テスタにより実施した。P-Eループ測定だけではヘテロエピタキシャル界面に由来する微小な特性変化の測定が困難なため、圧電応答顕微鏡(PFM)を用いることでナノレベルでの強誘電ドメイン変化を調べた。さらに、 Bi5FeTi3O15は強誘電と強磁性を持つマルチフェロイック材料のため、SQIUIDによる磁気測定を実施することで磁性を評価した。その後、磁気力顕微鏡(MFM)を用いることで、磁性ドメインの状態を観察した。ネール温度が80K付近のため室温では磁性ドメインは観察されないのは通常であるが、電界を加えることで電気磁気相互作用により磁性ドメインが観察されるようになることを我々は見いだしたので、この検証実験を実施した
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り国際会議(AMF-AMEC-2014・中国・上海)において研究成果の発表ができるとともに、筆頭論文を1報発表することができた。また、連名論文を1報発表している。さらに、AMF-AMEC-2014の後に中国上海珪酸塩研究所、中国東南大学に招待され、招待講演を実施している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、Bi5FeTi3O15よりもc軸方位に1層多いBi6Fe2Ti3O18を対象に加え、単層膜をPLD法により基板結晶(Si、SbTiO3等)に成膜し、TEM観察、強誘電特性としてのP-Eループ測定を実施し、PFMを用いることでナノレベルでの強誘電ドメイン変化を調べる。基板結晶を変えることによりヘテロエピタキシャル界面を変化させ、特性への影響を評価する。特に、c軸方向への結晶構造の延伸が、界面構造と特性にどのような変化を与えるのかを調べることは新しい視点である。Bi6Fe2Ti3O18も強誘電と強磁性を持つマルチフェロイック材料のため、SQIUIDによる磁気測定を実施することで磁性を評価し、MFMを用いることで磁性ドメインの状態を観察する。Bi6Fe2Ti3O18の場合もネール温度からは室温では磁性ドメインは観察されないのは通常であるが、 Bi5FeTi3O15の場合と比較することで、より多くの情報が得られるものと期待される。MFM用のカンチレバー購入に不安があるが、努力する予定である。なお、成果は強誘電体応用会議(FMA)等の国内会議、国際会議(ISAF-ISIF-PFM 2015・シンガポール)において発表する予定である。
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