研究課題/領域番号 |
14F04304
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
水野 直樹 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (40181903)
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研究分担者 |
CHUNG Chonghwa 京都大学, 人文科学研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 映画史 / 日本 / 朝鮮 |
研究実績の概要 |
本研究は既存の韓国映画史研究の一国史中心でナショナルな限界を見直し、朝鮮/韓国映画史叙述のバランスを取るため、比較映画史的視角から植民地期/帝国体制期の朝鮮映画と日本映画を検討することを目標としている。2014年11月25日から2015年3月31日までの 約 4か月の主な研究実績は次の通りである。 (1)文献資料の収集及び分析 新たに刊行された『映画公社旧蔵 戦時統制下映画資料集 第Ⅱ期 統制下の映画記事・批評・広告』により、帝国日本映画と植民地朝鮮映画の関係を示す記事などを調査分析した。また日本の初期映画史関連の論文(「初期日本映画の怪奇とトリックー牧野省三と尾上松之助の忍術映画を中心に」 (紙屋牧子)「弁士について―受容規制と映画的主体性」 (アーロン・ジェロー)など)を読んで、朝鮮映画史と比較しながら研究考察を行なった。 (2)日本の研究者との交流 人文科学研究所の共同研究班「日中戦争・アジア太平洋戦争期朝鮮社会の諸相」(責任者・水野直樹)の研究会や、日韓歴史研究者ワークショップ「「流言飛語」の時代-戦時期朝鮮社会の実像を探る-」に参加し、学際的・比較文化史的視角による研究の必要性・有用性を学んだ。また神戸映画資料館の公開研究会「イメージのサーキュレーションとアーカイブ」に参加し、日本映画史の研究者(神戸大学・板倉史明准教授など)と戦前日本映画の美学について意見交換をした。 (3)日本映画の分析・考察 清水宏監督〈子供の四季〉(1939)など日本の児童映画と朝鮮映画〈授業料〉(チェ・インギュ、パン・ハンジュン監督、1939年)とを比較しながら分析・考察を行ない、映画スタイル的親縁性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究開始1年目の本年度は期間が短いため、本格的な研究を開始する前の予備調査を行なったが、いくつか重要な資料を入手し、それらの分析も進めている。
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今後の研究の推進方策 |
朝鮮映画史の草創期、無声映画期について集中的に資料調査・分析を行ない、日本映画との関係像を各時期のコンテクスト/言説/テクスト的文脈から考察する。 関連史料の収集と分析のために、東京に出張して早稲田大学坪内記念演劇博物館、川喜多記念映画文化財団などにおいて資料調査を行う。 これらにもとづいて、日本内外の学会で研究発表を行なう。
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