研究課題/領域番号 |
14F04307
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
正田 純一 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90241827)
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研究分担者 |
OH SECHANG 筑波大学, 医学医療系, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 肥満関連肝疾患 / 運動療法 / 異所性脂肪症 / マクロファージ / 貪食機能 |
研究実績の概要 |
近年,NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)では肝の異物貪食を担うKupffer細胞(KCs)の機能が低下していることが報告されている.我々は,これまでに運動実践が肥満者におけるNAFLD病態と異物貪食能の改善をもたらすことをすでに報告している.しかしながら,継続した運動実践が実際にKCsの貪食能にどのような影響をあたえるのか不明であった.継続的な運動実践がKCs貪食能に及ぼす影響を検討すること野生型雄マウス8週齢をPre群,1wTr群,1moTr群,3moTr群,3moRest群に分け,Tr群にはそれぞれ1週,1ヶ月,3ヶ月間のトレッドミル走運動 (20m/分 50分/日, 5日/週)を負荷した.運動最終日の翌日にFITC-ビーズを尾静脈から投与し,5分後に灌流液により肝灌流を行った.KCsを単離後,マクロファージマーカーであるF4/80-APCで染色し,APC陽性細胞中のビーズを貪食したKCs細胞率と,ビーズの蛍光強度についてFACSを用いて評価した.体組成を評価する目的で,小動物用CTスキャンを用いた.体重と,骨格筋の体積は群間で差は認めなかった.全脂肪量,内臓脂肪量,皮下脂肪量,体脂肪率はPre群に比べ3moRest群で有意に増加したが,3moTr群ではその増加は抑制された.Pre群と3moRest群にはKCs貪食能に差は認めなかった.一方,Tr群では運動実践の期間に比例して,ビーズを貪食したKCsの割合と貪食されたビーズの蛍光強度は有意に増加することが明らかになった.継続的な運動実践は,KCsの異物貪食能を高めることが示唆された.運動による貪食能の増大は,NAFLD発症と進展に影響を及す菌体内毒素の生体内除去に重要であると考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果について,各分野の学会にて研究報告した.
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今後の研究の推進方策 |
運動によるマクロファージ貪食能の増加の背景にある分子メカニズムを解明する.
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