研究実績の概要 |
新規モリブデン系およびタングステン系ガラスの開発と機能性結晶化ガラスの創成に関し、以下の成果が得られた。 1)(50-x)MoO3-xWO3-25La2O3-25B2O3 (x=0, 10, 20, 30, 40 50)組成の新規ガラスを通常の溶融急冷法で作製した。いずれの組成においてもガラスが得られた。ガラス転移温度(Tg)は557-596oC, 結晶化ピーク温度(Tp)は650-740oCであり、MoO3をWO3で置換していくと、TgとTpは共に増大した。また、結晶化に対する熱的安定性もWO3の置換量と共に大きくなった。これらの結果は、ガラス中においても、W-O結合がMo-O結合に比べてかなり強いことを示している(参考:WO3結晶の融点:Tm=1473oC, MoO3:Tm=795oC)。 2) ガラスの熱処理によって出現する結晶相は、MoとWが固溶したLaMo1-xWxBO6相であることをX線回折から同定した。Mo6+のイオン半径(4配位)は、0.041nm、W6+は0.042nmと極めて近いことから固溶体LaMo1-xWxBO6結晶が生成したと考えられる。ガラスにおけるMo6+およびW6+の配位状態をラマン散乱スペクトルで調べ、MoO4, WO4, WO6多面体が存在することを明らかにした。 3)La2O3の一部をSm2O3で置換した40MoO3-10WO3-xSm2O3-(25-x)La2O3-25B2O3ガラス(x=3,5)ガラスを作製し、レーザー照射によって局所的な結晶化が誘起されるかどうかを調べた。現時点では、均一な配向した結晶は得られないものの、結晶化は起きていることをマイクロラマン散乱スペクトルで確認した。
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