研究課題/領域番号 |
14F04354
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
朴 龍洙 静岡大学, グリーン科学技術研究所, 教授 (90238246)
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研究分担者 |
ADEGOKE OLUWASESAN 静岡大学, グリーン科学技術研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 量子ドット / ナノ粒子 / 感染症の検出 / バイオセンサー / 蛍光 / 量子効率 |
研究実績の概要 |
前年度開発した量子ドット(QD)を用いて分子ビーコン(MB)の設計やMBプローブの作製を行い、ウイルス検出を行った。その成果は、次のとおりである。 1)近赤外(NIR)範囲で検出が可能な超蛍光レポーター(CdZnSeTeS QD)を開発した。一方、標的RNA配列を分子ビーコン(MB)のループ領域にコンジュゲートし、MBのステム両側にクエンチャーとCdZnSeTeS QDをそれぞれ結合したMBプローブを作製した。インフルエンザウイルスH1N1からRNAを抽出し、最適条件下で本MBプローブと反応させたところ、蛍光増強シグナルを検出した。この方法で、インフルエンザウイルスH1N1 RNAの二つの異なる株間判別に成功した。本MBプローブを用いてヒト血清中のH1N1ウイルスRNAを検出したところ、2コピー/mLまで検出が可能であった。この結果はCdZnSeTeS-MBプローブによって極めて低い濃度でも迅速、高感度、特異的にH1N1ウイルスを検出可能であることを示した。 2)QDの合成においてCdZnSeS/ZnSeS QDの硫黄のモル分率を制御することで、均一な粒子サイズ分布で光学特性を制御することができた。本法で合成したQDは、UV照射下で鮮やかな発光色を示し、フォトルミネッセンス量子収率(PL QY)は36~98%であった。CdZnSeS/ZnSe1.0S1.3 QDを分子ビーコン(MB)プローブ用蛍光レポーターとして用い、ヒト血清中のインフルエンザウイルスH1N1 RNAの検出を行ったところ、2コピー/mLまで検出可能であった。 本研究では、MBプローブを用いて迅速に微量のウイルスRNAを選択的に検出することに成功した。この成果は、著名な国際学術誌Biosens. Bioelectron.やJ. Mater. Chem. Bに掲載された。今後、ウイルスの種類の違いによる感度や選択性などを検討が必要である。将来的に本成果は診断用プローブの開発に繋がると確信している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定した量子ドットの効率が、予想以上量子収率であった。これによって分子ビーコンプローブの感度が高く、RNAを2コピー/mlレベルまで検出可能であった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で開発した分子ビーコンプローブを用い、インフルエンザウイルス以外のウイルスの検出に応用する予定である。
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