研究課題/領域番号 |
14F04356
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
宇佐美 徳隆 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20262107)
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研究分担者 |
GOVINDAN ANANDHA BABU 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 国際研究者交流 インド / シリコン多結晶 / 太陽電池 |
研究実績の概要 |
太陽電池用結晶シリコン中の転位クラスターは、太陽電池の変換効率を低下させる原因となるため、結晶粒を微細化することで転位の発生・増殖を抑制するハイパフォーマンス多結晶シリコンが注目されている。この結晶は、微細なシリコン原料を種結晶として用い、一方向凝固させることで微細な結晶粒を形成するのが一般的であった。しかし、この方法では、歩留まりの低下や、精密な温度制御が要求されることが問題となる。 本研究では、これらの問題を解決する新しい製造法として、わずか一層の粒状シリコンを用いて微細な結晶粒を形成する結晶成長法について検討を実施した。具体的には、粒径が数mm程度の粒状シリコンをルツボ底部に一層のみ敷き詰め、その上に窒化珪素をコーティングする手法の効果について調査を行った。この方法では、粒状シリコンによる表面積増加、凹凸の効果、シリコン融液の濡れ性の変化などにより核生成頻度に影響を与えることが予想される。 粒状シリコンの有無のそれぞれについてシリコン多結晶の一方向成長を行い、得られた結晶の多結晶組織の比較を行った。その結果、粒状シリコンを用いた場合には、一般的なキャスト法と比較して、結晶粒が微細化し、ランダム粒界の割合が増加することが明らかとなった。また、結晶粒の微細化に種結晶を用いる方法と比較して、インゴット底部に形成される高不純物濃度領域の割合が低下することも明らかとなった。しかし、市場展開されているハイパフォーマンス多結晶シリコンと比較すると、結晶粒のさらなる微細化が必要である。結晶粒の大きさは、粒状シリコンの粒径と比較して大きく、すべての凹凸で核形成が生じるわけではなく選択的である。核生成メカニズムを明確にし、さらなる微細化への指針を得ることが必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シリコン多結晶インゴットの結晶粒微細化に有用な新規の結晶成長技術を考案することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
粒状シリコンを用いた結晶粒微細化のメカニズムの解明に向けて、粒状シリコンの粒径や形状などを系統的に変化させた実験とその解析が必要である。
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