1. トカマクにおける電子サイクロトロン加熱の解析:トカマク統合コードTASKの1次元波動伝播解析モジュールに組み込まれた積分形誘電率テンソルを用い,球状トカマクにおける電子サイクロトロン波加熱の解析を行った.プラズマ周辺部の遮断領域を透過し,正常波から異常波へのモード変換,さらに電子バーンシュタイン波へのモード変換を経て,中心部でサイクロトロン共鳴加熱が生じる過程を定量的に評価し,最適な波動励起条件を検討した. 2. トカマクにおける電子サイクロトロン電流駆動の解析:積分形の準線形速度拡散係数を用いて,電子の速度分布関数の時間発展を解析し,磁力線方向に対して非対称な変形によって生じる電流駆動の定量的評価を行った. 3. 2次元波動伝播解析への拡張:トカマクのポロイダル断面における2次元波動伝播解析を行うため,磁場強度が空間的に変化する場合のサイクロトロン吸収を記述する積分形誘電率テンソルの定式化ならびにコード開発を行い,荷電粒子の磁気ミラー運動を考慮に入れたサイクロトロン共鳴吸収の定量的解析を初めて行った. 4. 非共鳴吸収の定量的解析:積分形誘電率テンソルを非磁化プラズマにおけるレーザー・プラズマ相互作用に適用し,急峻な密度勾配をもつ場合に非共鳴的な統計加熱により電磁波が吸収されることを示し.初めてその定量的評価を行った.. 5. 研究経費:国際ワークショップ(日米ワークショップ,日韓ワークショップ,欧州核融合プラズマ理論ワークショップ等)において研究成果を発表すると共に,東京大学柏キャンパスや京都大学宇治キャンパスにおいて研究打ち合わせを行い,今後の研究発展の方向性について議論を行った.
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