研究課題
バングラデシュのイネいもち病菌レースとイネ遺伝資源における抵抗性変異との関係を検討し、いもち病菌レースと抵抗性遺伝子との相互分化について解明した。イネいもち病菌レースについては、331菌系を異なるイネの栽培形態や時期によりバングデシュ全域より採取し、判別品種群との反応パターンによりその病原性を解明した。その結果、菌レースの分化は、地理的な分布の違いよりもイネの栽培生態型により顕著に変化することを明らかにした。つまり、各生態型では異なるイネ品種が栽培されており、これに対応する形で異なるこれら品種の保有する抵抗性遺伝子も異なっていると推定した。さらに、広く在来から近代改良イネ品種までを各生態型より収集し、イネゲノム染色体上のに一定間隔で分布するDNAマーカーの多型情報を用いた分類により、これら遺伝資源をインド型と日本型品種に分類した。また標準判別いもち病菌菌系群を用いた抵抗性反応による遺伝的変異を解明し、インド型と日本型の分化、各生態型への適応と抵抗性変異との関係を明らかにした。最終的に、各生態型におけるいもち病菌レースの分布とイネ品種の抵抗性変異の関係を検討し、病原性と抵抗性が相互に対応しながら分化していることを明らかにした。また、南アジアに広く栽培されているバスマチ品種の抵抗性遺伝子型を推定するとともに、量的形質遺伝子座(QTL)解析によりその推定遺伝子を同定しすることにも成功した。以上の研究成果をもとに、バングラデシュにおけるいもち病菌レースの分化と抵抗性遺伝子の変異との関係を明らかにするとともに、今後、普及品種の遺伝的改良やいもち病菌レースのモニタリングや制御に向けての基礎知見を確保した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Plant Disease
巻: 100 ページ: 2025-2033
http://dx.doi.org./10.1094/PDIS-12-15-1486-RE