研究課題
平成27年度までの研究により、シクロスポリン(CsA)依存性の1例(KANA1)と、CsAで改善した1例(KANA6)から、6pLOH(+)、6pLOH(-)(野生型)、HLA-Bアレル(B4002またはB5401)単独欠失の3種類のiPS細胞クローンを樹立することに成功した。これらのiPS細胞を種々の造血因子の存在下で3週間培養することにより、約70%のCD34陽性細胞を含む造血前駆細胞集団が誘導された。KANA1由来の野生型CD34 陽性細胞で患者自身のCD8陽性T細胞を刺激することにより、野生型CD34陽性細胞のみを選択的に傷害する細胞傷害性T細胞(CTL)株が誘導された。このCTL株からCTLクローンの樹立を試みたが、増殖が不良で、維持することが困難であったため、CTL株のT細胞レセプター(TCR)レパトアを解析し、頻度の高いTCRβ鎖陽性T細胞からTCRα鎖β鎖のcDNAを作製した。このうち1種類のTCRモチーフは、初発時に保存されていた骨髄T細胞でもっとも頻度の高いCD8陽性PD-1陽性T細胞中のTCRモチーフと一致していた。このcDNAを用いてJurkat細胞のトランスフェクタントを作製し、野生型CD34陽性細胞に対する特異性を現在検討している。一方、KANA6については、未輸血・無治療状態の骨髄が保存されていたため、PD-1陽性CD137陽性T細胞分画から単一細胞ソーティングを行い、頻度の高い4種類のTCRモチーフcDNAを用いて、KANA1と同様にJurkat細胞にトランスフェクトした。作製された4種類のトランスフェクタントは、野生型CD34陽性細胞には反応したが、B5401欠失CD34陽性細胞には反応しなかった。このため、現在CD34陽性細胞からcDNAライブラリーを作製し、HLA-B*54:01をトランスフェクトしたCOS細胞への導入を準備している。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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