現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
標準模型ではB中間子系でのCP対称性の破れの大きさはユニタリティ三角形と呼ばれる複素平面上の三角形の三つの内角(φ1 , φ2 , φ3 )をパラメータとして表すことができる。このうち,φ3 と呼ばれるパラメータについては B- → DK- 崩壊の観測から理論的不定性が非常に小さい測定が可能である。しかし, この崩壊の分岐比が非常に小さいため,現時点では三つの角度の中で測定精度が最も悪く,代替の測定法がいくつか提案されている。φ3 の測定は,今後 Belle II 実験でさらに大量のデータを集めたとき,新物理探索に重要な役割を果たすことが期待されている。本研究者は,Belle実験のB中間子崩壊データを使い、B- → DK-事象に B- → D*K- 事象を加えて解析することで、φ3の測定精度が向上することを示した。そして、Belle 実験の全データを用いφ3 の測定を更新し、(73±15)度と決定した。さらに、Belle II実験用のソフトウェアを使って、測定精度のさらなる向上の可能性も検討した。これの結果を国際会議で発表した。よって、ほぼ順調に進捗した。
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