研究課題/領域番号 |
14F04722
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
浅田 雅洋 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (30167887)
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研究分担者 |
WITHAYACHUMNANKUL Withawat 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | テラヘルツ波 / テラヘルツ電子デバイス / テラヘルツ光源 / 共鳴トンネルダイオード / 平面集積アンテナ |
研究実績の概要 |
本研究は、研究代表者が開発した共鳴トンネルダイオード(RTD)室温テラヘルツ光源に、研究分担者である外国人特別研究員が新たに提案した平面集積アンテナを融合させ、高指向性を持ちビーム制御が可能なコンパクトな高機能半導体テラヘルツ光源を実現すること、さらに、それを用いた超高速テラヘルツ無線通信の可能性を示すことを目的として行っている。研究分担者が来日した平成26年11月30日から研究を開始したため、今年度末までの4ヶ月は、以下のように、種々のアンテナ形状の提案と計算方法の確認を準備的に行った。 まず、RTDを用いたテラヘルツ発振素子と同一基板上に形成可能な平面集積アンテナについて、発振器との集積に必要な特性とその計算方法を確認した。具体的には、アンテナ自体の性能を示す放射パターンや利得だけでなく、RTDの出力を最大化するための放射インピーダンス、導体損失や誘電損失などの詳細と、それらを電磁界シミュレーションと等価回路で求める方法について、これまでの発振器で用いてきたRTDの特性を基にして確認した。次に、RTDとの平面集積が可能な構造として、梯子型漏れ波アンテナ、スロットアンテナおよびこれに微小インダクタンスを装荷した構造、スロット上の誘電体薄膜表面にパッチや積層多重ダイポール電極をおいた構造、スロット上に誘電体共振器をおいた構造を提案し、上記の種々の特性の概略を把握した。これらの構造を用いた集積素子の作製プロセスについても考案した。以上により、集積型RTDテラヘルツ発振器のための種々のアンテナ形状の基本的特性を把握し、次年度に行う予定の、サイズ依存性などの詳細な電磁界シミュレーション、各構造の比較、およびそれらの結果を基にした素子作製のための基本データとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、高指向性を持ちビーム制御が可能なコンパクトな高機能半導体テラヘルツ光源を実現すること、さらに、それを用いた超高速テラヘルツ無線通信の可能性を示すことを目的とし、今年度は、研究分担者が来日した平成26年11月30日から研究を開始したため、年度末までの4ヶ月は、次年度からの研究のための準備的期間と位置づけた。 内容として、RTD発振素子と集積可能な平面アンテナについて、発振器との集積に必要な特性とその計算方法を確認し、具体的な構造として種々のアンテナ形状を提案し、これらの特性の概略を把握するとともに、作製プロセスの考案を行った。これにより、集積型RTDテラヘルツ発振器のための種々のアンテナ形状の基本的特性を把握することができ、次年度に行う予定の、サイズ依存性などの詳細な電磁界シミュレーションや各構造の比較、およびそれらの結果を基にした素子作製のための基本データとすることができた。 以上から研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究においては、RTD発振素子と集積可能な構造として提案した種々のアンテナ形状とそれらの基本データについて、サイズ依存性などの詳細な電磁界シミュレーション、各構造の比較、およびそれらの結果を基にした素子作製を行う予定である。 これまでに提案した梯子型漏れ波アンテナ、スロットアンテナおよびこれに微小インダクタンスを装荷した構造、スロット上の誘電体薄膜表面にパッチや積層多重ダイポール電極をおいた構造、スロット上に誘電体共振器をおいた構造のそれぞれについて、アンテナ利得などの放射特性、RTDの出力を最大化するための放射インピーダンスや損失などの特性と、それらのサイズ依存性などを詳細に解析し、最適化や各構造の比較を行う。作製プロセスについても、これまでに行っているプロセスで可能な構造と新たなプロセスの導入が必要なものなどの比較検討を行う。これらの結果に基づいて、放射特性やその制御性、出力や効率、作製プロセスの難易などの観点で優れているものを選択し、RTDと集積した発振素子の作製を行う。
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