研究課題/領域番号 |
14F04731
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
長谷川 琢哉 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (40261549)
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研究分担者 |
ZAMBELLI Laura 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | 長基線ニュートリノ実験 / T2K / ミューオンニュートリノ・電子ニュートリノ転換現象 / ニュートリノフラックス |
研究実績の概要 |
東海・神岡間長基線ニュートリノ実験(T2K)は、ミューオンニュートリノ・電子ニュートリノ転換現象の発見を第一目標に掲げ、2009年に開始された研究である。2011年には、ミューオンニュートリノ・電子ニュートリノ転換現象を示唆する状況を捉え、2013年6月にはついに発見を公表するに至った。上記発見を踏まえ、他の研究グループが成しえなかった、三世代存在するニュートリノの混ざり具合の精密測定、ひいてはT2K研究グループの発見以前には足掛かりすら存在しなかった、レプトンのCP対称性の破れの探索に挑戦していくため、更なる実験データ蓄積を行うと同時に、実験の系統的不定性を理解しつくし、極小化することに努力を傾注している。特に、ニュートリノを生み出すπ粒子やK粒子等が陽子ビームと炭素標的の衝突によって生成される過程を詳細に調べることにより、ニュートリノ量等の予測精度を向上することに成功し、実験感度の向上がなされた。得られた成果は学術専門誌へ投稿し、国内外の学会、研究会で発表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
T2Kのミューオンニュートリノ・電子ニュートリノ転換現象の発見をうけて、当初の予定通り、三世代存在するニュートリノの混ざり具合の精密測定が継続され、また、レプトンのCP対称性の破れの探索へむけて、着実に実験感度の向上がなされている。特に、ニュートリノを生み出すπ粒子やK粒子等が陽子ビームと炭素標的の衝突によって生成される過程を詳細に調べることにより、ニュートリノ量等の予測精度が格段に向上し、T2Kの測定感度向上に寄与していることから、研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
KEK/J-PARCの加速器陽子ビームにより生成される大強度ニュートリノビームを使用し、東海・神岡間長基線ニュートリノ実験(T2K)を遂行していく。その際、引き続き、陽子・炭素衝突実験で得られたπ粒子やK粒子の生成データを詳細に吟味することにより、ニュートリノ量の予測精度向上を図る。得られた結果に基づいて、三世代存在するニュートリノの混ざり具合の精密測定の結果をとりまとめる。加えて、これまで得ることが難しかった大強度ニュートリノビームをKEK/J-PARCニュートリノ施設の稼働により手にしたことを活かして、既存の装置では測定が困難であったニュートリノ相互作用の詳細に迫る、新規ニュートリノ測定装置の構想を提案すべく、信号読み出しシステムプロトタイプを構築していく。得られた成果は、学術専門誌へ投稿し、国内外の学会、研究会で発表する。
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