研究課題/領域番号 |
14F04752
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
矢崎 成俊 明治大学, 理工学部, 准教授 (00323874)
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研究分担者 |
PAUS Petr 明治大学, 理工学部, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | 転位現象 / 開曲線の運動 / BZ反応 / a posteriori技術 / 画像輪郭抽出 / 曲線の位相変化処理技術 |
研究実績の概要 |
研究を推進した要点を列記すると, (1) 転位現象に現れる転位曲線の追跡 (2) 曲線と曲線が衝突したときの位相変化に対応する数値的処理 (3) 異なる色彩強度をもつ対象物の輪郭を抽出する画像処理技術 の三つに集約される.(1)と(2)の研究に関連して,転位曲線の障害物に沿った変形運動の厳密解を構成することができた.これは障害物にぶつかった二つの転位曲線がお互いに近づくように発展して接触し,別の二つの転位曲線に分裂するという現象を扱ったものである.具体的には,接触するまでは厳密解が構成され,そして,接触後は,二つの転位曲線から別の二つの転位曲線への分裂の取り扱いを数値的に制御する方法が開発された.この方法は,接近する二つの曲線が接触後,あるいは時間ステップによっては交差後に,交差部分を削除して,別の二つの曲線に分裂するというもので,後天的(a posteriori)な数値的操作である.従来は,接近する二つの曲線が接触しそうか否かの判定に注意を払っていたが,それでは,ぎりぎり接触しそうで,しかし接触しないで離れていく場合を回避できない.我々のa posterioriな方法ならば,接触した後に操作をするので,接触・分裂現象を確実に捉えることができる.これらの結果は,下記の論文として,2015年6月23日に日本応用数理学会の学術論文誌JSIAM Lettersに掲載が決定した:著者「Petr Paus と Shigetoshi Yazaki」,題目「Exact solution for dislocation bowing and a posteriori numerical technique for dislocation touching-splitting」なお,論文掲載予定日は,本年10月以降になる見通しである. また,(3)の研究については現在まとめの段階に入っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では,モデルの方程式の厳密解の構成は,想定していなかったが,試行錯誤の結果,移動する境界点をもつ開曲線の運動についてのある厳密解を構成することができたため.
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今後の研究の推進方策 |
大枠においては,研究計画に沿って研究を推進していく予定であるが,研究実績も踏まえて,具体的には次の四つの研究をさらに進展させる計画である.(1) 転位現象に現れる転位曲線の追跡の研究,(2) 曲線と曲線が衝突したときの位相変化に対応する数値的処理の研究,(3) 異なる色彩強度をもつ対象物の輪郭を抽出する画像処理技術の研究,(4) 化学反応現象に現れるダイナミクスの研究. (1)と(2)の研究に関連した研究実績が論文として結実したことはすでに【研究実績の概要】において記述したが,さらなる進展の可能性がすでに見えているので,結果がまとまり次第,論文として報告したい.(3)については,まとめの段階に入っている.それらの結果は,9月の日本数学会と日本応用数理学会において報告する予定である.また,(4)の研究については,研究を継続中であるが,なかなか難しい問題が克服できないでいる状況である.しかし,(2)で得られた新しい知見もあるので,それらを活用し,また異なるアプローチも模索しながら,研究を推進していきたい.
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