研究実績の概要 |
平成27年度までの研究では,有限要素法と個別要素法の両方を独自のプログラムとしてコードを作成してきた.しかし,実用的な動的負荷問題を解くには,連続体の他にも板やシェル等,多くのタイプの有限要素が必要であり,荷重条件や接触条件にも様々な設定が必要になる.それらに対応したプログラムを全て自作することは困難で,特に信頼性確保のためのデバッグ作業に多大な時間と労力が必要になる.そこで,既に信頼性が確保され,コードも公開されている汎用の有限要素コードDYNA3Dに,独自開発の混合法(CDFP)プログラムを組み込むことで,その問題を解決した.汎用性と信頼性の高いDYNA3DをベースにしてCDFPの解析を可能としたことは,本研究における最も大きな成果である. 開発したCDFP on DYNA3Dの検証のために,正方形ガラス板(200×200×6mm^3)の中央に衝撃子(先端が半径5mmの半球状の弾丸,質量55g)が速度5m/sで衝突する問題を対象とした衝撃破壊解析を行い,その精度と計算効率を検証した.個別要素と有限要素の境界が衝撃部の近くに存在すると,実際には発生しないはずの亀裂が生じるが,個別要素の領域を120×120mm^2まで広げると妥当な亀裂進展挙動を得ることができた.個別要素だけのモデルが要素数30,000個で解析時間が400秒なのに対し,混合モデルでは個別要素数10,800個で,解析時間も130秒と大幅に短縮することができた.適切な個別要素領域を設定できれば,本手法により精度良く少ない計算時間で解析できることが確認できた. 頭蓋骨と等価な曲率を有する扁平骨モデルを混合モデルにより作成し,CDFP on DYNA3Dによる解析を行った.これにより,本研究で開発したプログラムを用いて三次元的な曲率を有する頭蓋骨等の骨折解析が可能なことを確認することができた.
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