研究実績の概要 |
MSBSを用いた動的風洞実験に適応する低-中周波帯においてPSPの周波数特性を正確に測定するため,そのため装置を新たに設計した.この装置は圧力振幅が0-2 kPa,温度が 5-50°C,そして周波数が0.01-2000 Hzまで変更できるように設計されている.圧力変動を発生する容器に取り付けられた膜面の駆動にはリニアDCモータを使用,PSPサンプルは405 nmの半導体レーザーで励起し,発光強度は光学フィルタ,ダイクロイックミラーと集光レンズを介して光電子増倍管で計測した.PSPサンプルの温度制御はペルチェ素子によって行った. 較正試験では一定の周波数レンジにおいて取得したPSPデータを同時に取得した基準となる高周波圧力変換器と対比させることで,ゲインと位相差を周波数の関数として求められる.較正装置の制御はLabVIEWを使って行えるようになっており,研究室の他の研究者や学生にも使用しやすいようユーザーインターフェースに工夫をし,較正試験は対話形式で行える. 特異点分解法(SVD)を利用したノイズ低減法に関しては,これを時間変動する角柱側面のPSP計測データに適用した.具体的には,PSP画像を各列があるピクセルにおける計測値の時系列データになるようにマトリクスを構成し,SVDを用いてランダムに変動する成分から一定の相関を持って変動する成分を分離した.この方法はPSPの寿命計測データに対しても有効である. SVDは全画像データに対して適用する方法とそれぞれのピクセルの発光減衰データに対して適用する方法の2種類の方法を評価した.後者は前者に比較してフィルタリング能力にやや劣るが計算コストの低減効果が大きくより実用性が高い方法を開発することができた.
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