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2014 年度 実績報告書

アジアにおける不拡散問題と地域協力

研究課題

研究課題/領域番号 14F04774
研究機関一橋大学

研究代表者

秋山 信将  一橋大学, 法学研究科, 教授 (50305794)

研究分担者 WAN Wilfred  一橋大学, 法学研究科, 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2014-04-25 – 2017-03-31
キーワード核拡散 / 地域主義 / 安全保障制度 / 国際関係 / 核軍縮 / 核セキュリティ / 安全保障レジーム / 地域安全保障
研究実績の概要

2014年度は、北東アジアと東南アジアの2つに分け、アジア太平洋地域における地域安全保障協力の特徴にフォーカスした研究を行った。
北東アジアに関しては、過去数年の演説、イニシアティブ、政策等、様々な資料を用い、各国での安全保障上の優先順位について評価を行い、地域的な制度化に向けた既存の視点について、最新の概観を作成した。地域の将来に関して2つの異なる見方がある一方、経済的なインセンティブが両者の溝を埋める役割を果たすとともに、さらなるプロセスを促進すると結論付けた。ここにはより強固な地域的構造を目指す政治意思が存在するといえる。
次に、北東アジアの核に関する展望について検討を行った。北朝鮮の核開発計画は、過去の安全保障上の制度化において一貫して注目されていた。六者協議の展開、非核兵器地帯をめぐる議論の歴史、核セキュリティと核セーフティーの問題における技術協力の増加について検討し、将来的に常設の安全保障メカニズムを構築する健全な土台と成り得るか分析を行った。中国、韓国と日本の3ヶ国間の協力が特に有望と思われる。
北東アジアについては、出版用の原稿を完成させ、査読に提出した。より強固な地域アイデンティティーを確立させる上での政治的、経済的、社会文化的な発展の影響について分析し、今後の論文の質を高めていく。
東南アジアについては、アセアンに注目し、地域的な安全保障協力の展開を追った。冷戦後、アセアンのアジェンダが非伝統的な安全保障領域に特段の注意を払いつつ、徐々に拡大した経緯について検討を行った。また、地域大国である中国、日本との関係を通して、アジア太平洋地域でのアセアンの主導的役割の評価も試みた。シンガポールでの調査では、アセアンの将来について、研究者と元政府関係者にインタビューを行った。原子力エネルギーと核セキュリティ分野での協力の可能性に着目し、今後も東南アジアに関する研究を継続する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2014年度の本研究プロジェクトは概ね予定通りの進捗となった。北東アジアと東南アジアに関する文献を多く読み、両地域の安全保障課題についてより深く理解することができた。さらに、東アジア全体の安全保障制度の構築とその展開を図表にまとめた。また、地域が核に関する問題の異なった側面からどのように影響を受けたかについて確認した。しかし、地域関係を全体的な視点から捉え、地域の経済、社会、政治状況について見ることにより多くの時間を費やしたかったと考えている。

今後の研究の推進方策

本研究の続きとして、核不拡散のための地域的アプローチに関与する国連の役割に注目する。どのようにすれば国連が核セキュリティや核セーフティーのようなトピックに関する既存の地域メカニズムをより良く活用することができ、核軍縮の進展を促進することができるかについて検討する。東アジアについての研究を続け、同時に南アジアおよび中東の議論とも結びつける。課題となるのは、2015年とそれ以降が不拡散レジームの転換期となることである。しかしそこでの議題によって政策決定者がどのようにして核に関する問題における地域機構の役割を理解するかを評価することができる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Firewalling Nuclear Diffusion2014

    • 著者名/発表者名
      Wan, Wilfred
    • 雑誌名

      International Security Review

      巻: 16(2) ページ: 217-228

    • DOI

      10.1111/misr.12133

    • 査読あり
  • [学会発表] Preventing Nuclear Proliferation2015

    • 著者名/発表者名
      Wan, Wilfred
    • 学会等名
      Global Asia Seminar Series
    • 発表場所
      Nanyang Technological University, Singapore
    • 年月日
      2015-03-26 – 2015-03-26
  • [図書] Routledge Handbook of Security Studies2016

    • 著者名/発表者名
      Wan, Wilfred, William C. Wohlforth, David L. Rousseau and Thomas Walker, Heikki Patomaki, Barry Buzan, David Mutimer, Juha Vuori, Sheila Nair, Karen Lund Petersen, Christian Bueger, Oldrich Bures, Adam Edwards, Jef Huysmans and Vickie Squire, Ron Deibert, Christopher Coker, Inessa Baban, William D. Schanbacher
    • 総ページ数
      印刷中
    • 出版者
      Routledge
  • [図書] Emerging Trends in the Social and Behavioral Sciences2015

    • 著者名/発表者名
      Wan, Wilfred, with Etel Solingen
    • 総ページ数
      印刷中
    • 出版者
      Wiley Publishing
  • [図書] Oxford Handbook of Historical Institutionalism2015

    • 著者名/発表者名
      Wan, Wilfred, with Etel Solingen, Peter A. Hall, Kathleen Thelen, James Conran, James Mahoney, Khairunnisa Mohamedali, Christoph Nguyen, Giovanni Capoccia, Sven Steinmo, Paul Pierson, Mark Blyth, Oddny Helgadottir, William Kring, Atul Kohli, Hillel Soifer, Edward Gibson, Steven Levitsky, Lucan Way, Melani Cammett
    • 総ページ数
      印刷中
    • 出版者
      Oxford University Press
  • [備考] Center for Policy Research

    • URL

      http://cpr.unu.edu/author/wwan

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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