研究課題/領域番号 |
14F04791
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
蟹江 憲史 東京工業大学, 大学院社会理工学研究科, 准教授
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研究分担者 |
OKITASARI M. 東京工業大学, 大学院社会理工学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 制度構築 / ローカルな環境ガバナンス / ポスト2015開発アジェンダ / グリーン政策 / インドネシア / 持続可能な開発目標(SDGs) |
研究実績の概要 |
本研究の主な目的は、ポスト2015開発アジェンダの採択が見込まれる中、国際および国内レベルの持続可能な開発目標(SDGs)が、いかにしてまたどのような形でローカルな開発計画に転換されるのかを分析することである。本研究では、特に国内およびローカルなレベルに焦点をあて、制度設計の分析的かつ実証的な例を提示する。その際、ケーススタディはローカルなレベルで実施し、分析レベルは自治体とする。 今年度は、文献のレビューを通じた研究のフレームワークの構築、研究の方法論の強化ならびに分析枠組みの設計に従事した。収集した文献は、環境ガバナンス、制度およびグリーン政策の領域に属するものである。制度およびシステムのアプローチに関する文献は、制度化の度合いを分析し、そのダイナミズムにより適切に対処するための理論的なフレームワークを構築する上で特に重要である。一方、研究調査を進めるために必要な二次資料は、すでにインドネシア政府のさまざまなレベルで収集を始めている。また、インドネシア国内の環境に関する制度やガバナンスの現状を明らかにするため、予備的なフィールドワークを実施した。フィールドワークにおいては、インドネシアのさらなる発展に向けて官庁の職員とともに研究課題を検証した。 研究成果として、一連の会合を通じたジャカルタにおけるフィールドワークから、国内レベルでのポスト2015年およびSDGsプロセスの現在の問題や課題を位置づけた。また、SDGsプロセスに関わる国内の主要なステークホルダーを特定し、その役割や機能を明らかにした。さらにインタビューを通して、指標設定のプロセスは、インドネシア政府が合意した条約や大臣および統計局が利用可能な指標に基づいているのに対し、国内のターゲット設定のプロセスは、主に国家の開発計画に基づいているという知見が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、方法論的なアプローチや理論的なフレームワークを構築するための文献のレビューを実施した。このレビューを踏まえ、関連する文献に照らし、問題設定や研究目的を含む研究の全体構造を再構成している。一方で実証的な観点から、特に持続可能な開発やミレニアム開発目標(MDGs)に関する国内レベルの統計データなどの二次資料を収集した。またフィールドワークの際には、官僚に対してアンケートを作成・実施し、フィードバックを受け取るとともに適宜その修正を行っている。さらに、主要なステークホルダーを特定し、次回のフィールドワークに向けた準備作業の一環として連携を図っている。こうした研究成果を基に、学会やジャーナルのためのアブストラクトをいくつか提出済みである。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、文献のレビューを継続しつつ、フィールドワークを行い、インドネシアの特定の都市に関する一次資料を収集する予定である。そこで今年度実施した予備的なフィールドワークを踏まえ、ジョクジャカルタ、スラバヤおよびデンパサールにおいて多様なケーススタディを設計する。フィールドワークでは、主要なローカルなステークホルダーを明確にし、インタビューを行う。また、インタビューやグループ・ディスカッションに加え、ローカルな開発計画を一次資料の情報源として活用する。このフィールドワークを受けて、分析に先立ちデータをまとめる。そしてそのデータは、分析枠組みに従って分析され、制度やシステムのアプローチを用いて解釈される。
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