研究課題
本研究では、短パルス発生半導体レーザー、高効率太陽電池などに代表される高品質半導体ナノ構造光デバイスを、低次元性とキャリア間多体クーロン相互作用などの基礎物理効果を踏まえて設計・作製・評価し、同時に新しいフィラメントセルを用いたドーピングやへき開再成長など半自家製のMBE装置の各部の改造や手法開発を進め活用することで、外国人特別研究員と代表者研究室メンバーが共同で、基礎物理に基づいた「ものづくり」を探究することを目的としている。H26年度には、光励起短パルス発生用半導体レーザー、太陽電池デバイス、テラヘルツ分光用バルク・量子井戸試料を設計し、MBE結晶成長を行った。半導体レーザー試料については、有限要素法を用いて縦励起用ダブルコアレーザー構造の計算コードを作製したうえで設計し、リッジ導波路構造作製プロセスを行い、低しきい値縦型光励起レーザーを発振させることができた。さらに、ストリークカメラを用いた時間分解計測が進んでいる。次に、電流注入用ドーピングを含めて設計・結晶成長した半導体レーザーウエハに対して、オーミック電極加工を行って、研究室で初めて低温連続波発振と室温パルス発振に成功した。太陽電池用減反射コーティングや、半導体レーザーの端面高反射コーティングを行うため、電子ビーム蒸着法による酸化シリコンと酸化チタンの多層膜形成を試した。平面基板試料のほか端面ファセットのエッジ近傍への蒸着についても、自家製の顕微反射計測装置を用いて評価を行い、ほぼ設計通りの性能の多層膜が得られていることが確認した。その他、機械研磨とウエットエッチングを用いて基板除去の試料プロセスを行い、透過型の光学実験用試料の作製を行い、国内の複数の共同研究グループへの試料提供も行った。
2: おおむね順調に進展している
研究は計画に沿った形で順調に進んだ。外国人特別研究員と代表者研究室メンバーが共同で設計を行い、研究員本人がMBE結晶成長、電子ビーム蒸着、試料加工、評価計測を行い、代表者研究室メンバーが詳細な物理計測を行うという形で、共同研究も順調に進み、多くの論文や学会発表を行うことができた。
H26年度末に、MBE成長装置のオープン・メンテナンス作業を行い、MBEチャンバー内の清掃、クライオポンプのメンテナンス、材料チャージ、リードスクリーン更新などに加え、n型とp型のドープ制御のための自家製のフィラメント型ドーパントセルの改良を試みた。H27年度に試用を行う予定である。学外のテラへルツ分光、超高速分光の研究グループからも、試料提供の依頼が来ているので、試料の設計・結晶成長・加工・基礎評価を順次進め供給を行いたい。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (19件) (うち招待講演 1件) 産業財産権 (2件)
Ultrafast Phenomena and Nanophotonics XIX
巻: Proc. SPIE 9361 ページ: 93611L
http://dx.doi.org/10.1117/12.2078419
Physics, Simulation, and Photonic Engineering of Photovoltaic Devices IV
巻: Proc. of SPIE Vol. 9358 ページ: 93580B
http://dx.doi.org/10.1117/12.2175825
Scientific Reports
巻: 5 ページ: 7836
http://dx.doi.org/10.1038/srep07836
The 40th IEEE Photovoltaic Specialists Conference Proceedings
巻: 2014 IEEE 40th ページ: 1780-1783
http://dx.doi.org/10.1109/PVSC.2014.6925268
巻: 2014 IEEE 40th ページ: 3404-3408
http://dx.doi.org/10.1109/PVSC.2014.6925662
Review of Scientific Instruments
巻: 85 ページ: 053109
http://scitation.aip.org/content/aip/journal/rsi/85/5/10.1063/1.4879335
Applied Physics Express
巻: 7 ページ: 062701
http://iopscience.iop.org/1882-0786/7/6/062701/