研究課題/領域番号 |
14F04914
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
平澤 恵理 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50245718)
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研究分担者 |
DE VEGA Susana 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | フィビュリン-7 / 細胞外マトリックス / 血管新生 / バイオマーカー / ペプチド |
研究実績の概要 |
de Vega博士は新規ECMタンパク質・フィビュリン-7(Fbln7)を発見・同定し(de Vega et al., 2007, J. Biol. Chem.)、その後も継続してFbln7の生物学機能解明を目的に研究を進めている。Fbln7は他のフィビュリンファミリーやECM分子には存在しないユニークなドメイン構造を有している(de Vega et al., 2009, Cell Mol. Life Sci.)。さらにFbln7が軟骨組織や眼等の非血管組織に発現しており、特に軟骨組織では血管組織との境界に位置する軟骨膜に接する領域に強く局在していることが解った。このことからFbln7が軟骨への血管侵入を妨げる機能が推測されため、全長Fbln7や各ドメインの組換えタンパク質の血管新生に対する機能を調べ、Fbln7由来フラグメントが血管新生阻害活性を有していることを発見した(de Vega et al. 2014)。これらの結果はFbln7が生体内での血管新生において重要な機能を有していることを示唆しており、悪性腫瘍のような血管新生が関与する疾患に対する創薬のシーズとなることを期待させる。本研究では、Fbln7の抗血管新生活性に注目して、生体組織でのプロセシング解析とその生成物であるフラグメントの同定、さらにその分子作用メカニズムを解明している。今年度は、機能フラグメントの最小単位として、治療応用に発展性のあるペプチドを同定し論文投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Fbln7は、タンパク分解酵素による試験管内での分解が確認されているが、生体内での分解産物は確認されていない。量や検出のための抗体の精度の問題等が考えられる。そこで、26年度は、人工的に作成したフラグメントの機能解析とその最小機能単位の同定を先行してすすめた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、悪性腫瘍、加齢性黄斑症のような血管新生が関与する疾患に対する創薬のシーズとなりうると考えられる。平成27年度には、悪性度の異なる神経膠腫(グレードI,II,IIIの病理標本を用い、腫瘍部血管と非腫瘍部血管のFbln7の発現様式を比較検討し、病態解明を行うとともに、Fbln7の悪性度マーカーとしての有用性を検証する。血管新生を標的とするいくつかの疾患の細胞及び動物モデルを用いた治療実験を計画、開始する予定である。血清、組織中に生体内での分解産物が確認された場合、当初26年度の研究として計画されたFbln7プロセシング機構の解明を進める。さらに、その生成フラグメントの生物学的活性評価、及びカテプシン等Fbln7の分解を司る候補酵素の同定を進める。同定された酵素の欠損マウスが入手可能であれば、酵素欠損マウスでのフェノタイプを探索する。
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